仕事の打ち合わせを兼ねて日本橋へ。
「小野さんにお店まかせますから、よろしくお願いします」
前日、店の選択を頼まれる。どこにしようか? そうだ前から気になっていた「ふくべ」にしよう。
6時ちょい前に入店、店内は左手にカウンター8人ほどかな、既に満席。手前に大きな燗つけ器、この店は日本酒を売りにする老舗の居酒屋だ。
「お1人ですか?」
「3人です」
「じゃこちらへ」
右手がテーブル席になっていて、6人が1卓、4人が3卓、2人が1卓で、2階が座敷席になっているようだ。
「恐れ入りますが、込み合いますので2時間でお願いします」
人気店なんだな。味わいのある煮締まった土壁、その壁面には日本酒メニューがずらり、数えるとなんと40種類ほど。
「とりあえずビールください」
アサヒのスーパドライ、お通しは切り昆布の佃煮。喉を潤しさっそく日本酒だ。
「吉乃川下さい」
「付け方は?」
「ぬる燗で、それとウニ豆腐と塩ラッキョ」
新潟の吉乃川はボクが一番好きな日本酒、おごりのない日本酒らしい酒だ。しばらくするとサラリーマンが続々と入店。
「今日は自家製の薩摩揚、おでんが美味しいですよ。いかがですか」
と店員が方々の客に適度な間合いで肴を勧める。それがまったく嫌味がなく、商売熱心、むしろ清々しい光景だ。
「お待たせしました」
と6時半頃、取引先の友人2人が到着。
「ビールとおでん下さい」
「はい、今日はアジの開きと薩摩揚美味しいですよ」
「じゃそれもお願いします」
大阪、池田の呉春のぬる燗に変えておでんやアジを貪る。
仕事の話を30分ほどですませ、3人ホンチャン飲み。
日本橋、八重洲という土地柄、客層はほぼサラリーマン。
ボクのような普段着の客は数少ない。店内にクサヤの匂いが立ち込める、これもいい。とにかくひっきりなしに客が押し寄せ大混雑。2時間制限も頷ける。
料理は400~800円が主流で、この雰囲気と相まってリーズナブルと言えよう。1人ならやはり風情のいいカウンターがおすすめだ。8時過ぎ、お暇した。今度は1人で和みに来ようか。
〈店舗データ〉
【住所】東京都中央区八重洲1-4-5 電話03-3271-6065
【営業】16時30分~22時15分 土16時30分~21時15分
【休日】日・第2・4土曜
【アクセス】地下鉄東西線・銀座線「日本橋駅」A 3・A7出口から徒歩2分
JR各線「東京駅」八重洲口から徒歩4分