水道橋「麺一筋」尾道ラーメンの先駆


IMG_7389水道橋西口から「東京ドーム」を背にして、水道橋西通りを歩くこと4分、「尾道ラーメン 麺一筋」が現れる。昼時は近隣のサラリーマンや学生で行列をなしている人気店である。

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お勧めはご覧の「魂のラーメン」だ。この美しいデコレーション、眺めているだけで食欲がそそられる。香ばしくトロトロのバラ肉の焼豚、半熟の味付け玉子、たっぷりのアサツキに関西以西のラーメンで見受ける細切りのメンマ。スープの表面を覆っているのは、醤油で下味された背脂だ。一口すすると深い旨味とコク、このスープによく絡む自家製の平打ち麺の食感も心地よい。

※ありし日の矢辺さん。

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ご主人の矢辺治氏(残念ながら他界されました)は大のラーメンフリークで、全国のラーメンを行脚すること十数年。果たして自分の舌にしっくりきたのが、尾道で出合ったご当地ラーメンだった。 「これをちょっとアレンジしたらもっと美味しくなるだろうな」 とピンときたらしい。スープは豚の背骨、モミジ、鰹節のほか、はぎ節(カワハギの干物)という珍しい干物を使用しているのが特徴で、これがコクのある旨いスープを表現しているのだ。

また「塩ラーメン」を方々の店で食べるのだが、正直どれも物足りず、損をした気分になる。「タンメン」なら肉や野菜が豊富に入っていて満足できるが、これが塩スープにメンマや焼豚となると、やはり醤油や味噌特有の旨味成分の力強さには及ばない。スープが弱い上に、塩の元ダレに底力がなければ「塩ラーメン」は成立するワケがない。

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しかし「麺一筋」の「藻塩そば」は実に力強い味わいに大満足。ここで使われている広島から取り寄せた「藻塩」とは古代の製塩方法の一つで、海水に浸した海藻を乾かし、その焼いた灰をさらに海水で漉し、土器で煮詰めたものらしい。また塩分濃度が低いためまろやかな甘味があるという。

この「藻塩」に、昆布、貝柱、干し海老、日本酒など、さらにまろやかにするため苦汁を少量添加し、四日間熟成させたものが「麺一筋」の力強い塩ダレとなる。この店の基本の力強いスープと合体すれば、その奥行きのある味わいは群を抜く。塩の尖りのないまろやかな旨味、コク、それでいてサッパリとした味わいは、まるで隙のない美味しさだ。具は焼豚のほか、細切りコブと海葡萄のプツプツとした口当たりが楽しく、小皿の醤油味の背脂を浮かべればさらに旨味が増す代物だ。

また「特製つけ麺」や夏場にピッタリの「冷やし坦々麺」なども旨いぞ。

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