ある会社の社長と飲み会が予定された。
「6時に予約入れたんで来てくださいね」
と間を取り持つボンボン社長。
指定された店は根津駅からちょい日暮里寄りに上がる坂道の右手の地下にあった。
清潔で和モダンな店内。丸坊主のご主人、なんだか見覚えのある顔だった。奥のテーブルにボンボン社長ともう1人の社長がすでにいた。
「どうも初めまして」
「ボク、間接的に小野さんのこと知ってまして。高校生の頃、中本で小野さんの本を発見して、中本さんに聞いたら小野さんがしょっちゅう食べに来ているて聞いたの覚えてますよ」
中本とは現在の「蒙古タンメン中本」のことで、中本さんはすでにお亡くなりになられた先代のご主人のことだ。随分と古い話だ。
まずはカンパイ。
つき出しは「香味野菜のゼリー寄せ」、酸味がありサッパリとして美味しい。
次に本マグロの赤身と中トロ、コチ、タイ、干しカレイ、シャコ、ホタテの刺し盛り。
「いや~これ随分といいネタだな」
ご主人は料理を自ら運び素材について説明をする。
「えー、こちらが北海道礼文島のバフンウニです」
礼文のバフンウニとは驚き。昔礼文島に渡って、水揚げしたばかりのバフンウニをその場でさばいて食べたことがあるけど、ものすごく美味しかった。
「ここメチャメチャ高いだろう」
「大丈夫ですよ、この社長が払ってくれますから」
とボンボン社長。そうか実に頼もしい。
その他「馬肉のタルタル」。
「ハモの天ぷら」。
「水なす」。
「サマートリュフのポテサラ」など。
「ハマグリのお吸い物」のハマグリの大きさにビックリ。
いいダシで豆腐がメチャメチャ美味しかった。来ている客はみな小金持ち風情。そりゃそうだ。この料理屋はそうとうお高いはず。しかし同伴の社長の酒量がハンパない。ハイボールを15、6杯飲んだんじゃないかな、肝臓大丈夫かな。
会計を済ませ、ゴチになった。店主がわれわれを見送る。
「小野さんこのご主人、大塚にあった『こなから』の店長ですよ」
「えっ、そうなの」
どおりで顔に見覚えがあると思った。「こなから」は昔良く通った店で、鮮魚や一品料理が美味しかったのだ。
店を後にして2軒目を探しながら徘徊した。
「おばこ」という居酒屋を見つけ突入。
ご夫婦で切り盛りされていた。
「トロロとんぶり」。
「チーズ燻りガッコ」。
「焼きうどん」どれも美味しかった。ここでも社長が酎ハイをまた5、6杯飲んでいた。
店の主人が尺八を吹き始めたので写真をパチリ。どうやら民謡酒場のようなで、ご主人の尺八に合わせて、女将さんが民謡を歌ってくれるらしい。次回訪問する機会があればぜひ聞いてみたい。
そして3軒目は巣鴨のガールズバーに無理やり連れて行かれた。ここでも社長がハイボールを4、5杯飲んでいた。おいおい30杯近いぜ、大丈夫か?
〈たけもと・店舗データ〉
【住所】東京都文京区根津2-14-10地下1階 電話03-6753-1943
【営業】17時~23時
【休日】日
【アクセス】東京メトロ千代田線「根津駅」から徒歩2分
〈おばこ・店舗データ〉
【住所】東京都文京区千駄木2-43-4 電話03-3822-8411
【営業】17時~24時
【休日】日
【アクセス】東京メトロ千代田線「千駄木駅」から徒歩3分