曳舟「二平」誰も知らない中華屋。肉まんとワンタン麺を食す。


八広、東向島、曳舟界隈は飲みにしか訪れたことがない。昔だけどたまに訪れていた居酒屋は「かどや」、「岩金」、「丸好酒場」かな。

本所吾妻橋だと焼きトン「松竹」(閉店)はよく通った。ある日訪れたら焼きトンがメニューから外されていた。

「やめちゃったんですか?」

と、おばちゃんにたずねると。

「うん、なんかもうやめていいって思っちゃって。と言うかお告げのような感じかな」

それからしばらくして閉店してしまった。いい店だったんだよね。

中華「二平」は確か「かどや」にいた見知らぬ客と話している時に知った。

「ここからちょっと離れてるんだけど、あんまんと肉まんを出す中華屋があってさ、看板もないし渋い店なのよ」

「美味しいんですか」

「さあ、どうだったかな?」

と適当な返答。なぜかずっとその店が耳に残っていた。行ってみなきゃとずいぶん前から思ってたんだけど、あれから7、8年経つかな。

看板もなにもない朽ちかけた外観。やっている気配を感じないが、暖簾から覗くと。

「いらっしゃい」

とオヤジさんが新聞を読んでいた。

「肉まんとワンタン麺ください」

煮締まった店内には細長いテーブルが何卓か。コンクリートの床は歪んでいて、当然テーブルも斜めになっている。

奥さんが現れ、入口脇に設置された蒸し場に入り、セイロから小皿に盛った肉まんが提供された。

アツアツではなく、ほどよく温か。頬張ると長野名物のおやきの食感。中華の肉まんは酵母菌を入れて一次発酵させて具を包んで蒸したものだけど、これはどこか違う。

具は豚肉にキャベツかな、独特な風味で薄味。極めて素朴な味わいだった。

ワンタン麺は大ぶりな丼に海苔、ナルト、メンマ、コーン、小松菜、焼豚にワンタン。

スープはやや薄味で旨味も軽やか。好みで卓上の醤油を足してもいいかな。

ストレートの中太麺がモチっと滑らか、これは美味しいね。

ワンタンには僅かな具、これも薄味でチュンとした舌触り。

メンマも焼豚も全体的に薄味だ。

このラーメンは胃袋が萎えている時にしっくりくる味わいかな。味噌やタンメン、うま煮ラーメンだとストレートの中太麺の威力が発揮されるだろう。いずれにしろ穏やかな美味しさだった。

しかしこの店いつからやっているんだろう。長らく息づいてもらいたいね。

〈店舗データ〉

【住所】東京都墨田区東向島2-39-12 電話03-3614-3269

【営業】11時~23時

【休日】日・祝

【アクセス】京成押上線「京成曳舟駅」明治通り出口から徒歩6分 東武伊勢崎線「東向島駅」から徒歩7分 東武伊勢崎線・亀戸線「曳舟駅」西口から徒歩7分


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