国立に住む知人から勧められて訪れた「一葉松」。この界隈の人々は「よくある町の中華料理屋の味わい」と言っているようだけど、実際いただいたら、都内でもこの店に肩を並べる店はそう多くないと思った。
この一風変わった店名。源平の頃、若い武将に恋をした遊女が、その武将が戦死したという誤報から、姿見の池に身を投げたという話。その由来からこの辺りが恋ヶ窪と名付けられ、その遊女の死を悼み、植えた松が「一葉松」だそうだ。ここの店主、なんとも情緒的感性の方、店はお世辞にも綺麗とは言い難いが、味わいにその片鱗がある。
店内は入口正面にカウンター6席、右奥に4人席のテーブルが4卓といったスペース。店主は70半ばか。
この日は友人と一緒だった。「酸辣飯」700円、「油そばとミニ麻婆丼セット」750円、「餃子」350円をオーダーした。
まずは「酸辣飯」、見るからに食欲がそそられる絵姿。
一口、酸味、辛味ほどよく、軽やかな旨味。極めてバランスがいい。片栗でトロミをつけていないので、どちらかというとオジヤかリゾットといった風情で、これ初めての食感、美味しい。
ミニ麻婆丼は、凝った味付けではないけど、嫌味な甘さのない潔い味わいでこれも旨い。
「油そば」は薄い短冊切りの焼豚にナルト、メンマ、タップリのネギ。
これを徹底的にかき混ぜて食らうと滑らかで、塩気穏やかで、ほどよい旨味、これも美味。
マグカップのスープも美味しく、途中これを油そばに注いでいただくと、ラーメンに早変わり、これも面白い。
また「餃子」は香ばしい焼き目で、野菜多めでシットリとやや肉野菜汁が滲む感じ、これも美味しい。
この店主、腕がいいし、味のセンスが抜群。
「また食べに来ようぜ」
と友人。ボクも納得した。
〈店舗データ〉
【住所】東京都国分寺市西恋ヶ窪1–30–14 電話042–323–1966
【営業】11時30分~15時 17時30分~20時30分 日・祝11時30分~15時 17時30分~20時
【休日】月
【アクセス】JR武蔵野線・中央線「西国分寺駅」北口から徒歩3分