「軽く寿司つまみたいな~」
ちょっと前だが長野から高速バスの帰り、練馬で途中下車した。
この界隈は昼のランチに訪れることが多く、夜は焼きとん屋、焼肉屋ぐらいしか知らない。でも昼に徘徊しているのでなんとなく、色々な寿司屋の場所はだいたい頭に入っていた。
「名前は覚えてないんだけど、住宅街の中にある気になる寿司屋があったんだよな」
と連れとフラフラ。
「ここだ。入ってみようよ」
ご主人は70半ば、奥さんの2人で切り盛り。私鉄沿線によくある典型的な町に根を下ろした寿司屋だった。
まずはビール。
そして軽く鉄火を巻いてもらい、胃袋を落ち着かせる。
途中熱燗に切り替えて、タコ、アワビ、中トロの刺し盛り。
コハダにサラダをつまみにゆっくりと過ごす。
「どこかの帰りですか?」
「ええ、高速バスで善光寺に行ってきたんですよ」
「ああ、そうですか。うちらも子供が小さかった頃よくお参りに行きましたよ。ここは初めてですか」
「そうです。昼間プラプラしてて、前から気になっていて、帰りに寄ってみようってことになって」
「わざわざありがとうございますね」
と世間話で盛り上がる。お2人とも明るく屈託がない。軽く酔も回ってきて、そろそろ締めの握りの時間。
「なにかオススメがあったら2つばかり握ってもらえますか」
「いいのありますよ」
いただいたのがトロの炙り、ちょい香ばしく軽やかな脂が旨い。
アナゴはフワっとしてツメの甘味と塩気のバランスがいい。
そしてカンピョウ巻きにお吸い物でフィニッシュ。なんとルーツの盛り合わせをサービスしてくれた。ありがたいね。
2時間ほどでおいとま。
「美味しかったです、またおうかがいしますね」
「はい、また来てください」
気負いなくて落ち着ける町の寿司屋はやっぱりいいな。
〈店舗データ〉
【住所】東京都練馬区練馬1–30–13 電話03–3922–0277
【営業】11時~23時
【休日】不定休
【アクセス】西武池袋線「練馬駅」南口・北口から徒歩5分