神田界隈の裏道、袋小路の一角に煮しまったようなボロボロの中華料理屋「白蘭」がある。この店を知って20数年ぐらいかな。1階にテーブル席はあるが、混雑しない限り2階へ通される。階段を上がっていくと、
「坦々麺でいいですか」
とオバちゃんの一声。
「はい。お願いします」
各種ラーメン、焼きソバ、丼ものはあるが、客の9割が超ジャンクなラーメン「オリジナル坦々麺」680円を注文する。
この「坦々麺」は、ひき肉と豆板醤などで味付けし、片栗粉で〆た単純なもの。それを麺の上にかけただけの和え麺だ。
麺の茹で時間はおそらく30~1分程度、麺にはほどよく芯が残っていて、食べている途中でちょうどいい硬さになってくる。まずは麺が固まらないように、素早く全体を各混ぜて一口、
「あ~この味この味」
特別美味しい、ってもんじゃないけど、このラーメンが無性に恋しくなる、特に体が弱り気味の時だ。熱々のドロドロ麺、微かな甘味と旨味に彩られたピリ辛のスープが胃袋を軽く刺激してくれて、食欲が湧き出る。途中、お酢や、豆板醤をちょい足すと、さらに刺激的な味わいに様変わり。
夜は神田のサラリーマンたちが集い、ちょっとした酒場に早変わり。ホントにボロボロな店だけど味わいがあるのよ。
〈店舗データ〉
【住所】東京都中央区日本橋本石町4–4–17 電話03–3279–2075
【営業】11時~14時 17時~21時
【休日】土・日・祝
【アクセス】JR中央線「神田駅」南口・銀座線「三越前駅」・JR総武本線「新日本橋駅」
からいずれも徒歩4分