池尻大橋「蓮月」で出合ったカレーライス


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お店以外で、他人が作ったカレーで唯一感激したことがある。それは中村直也さんがこしらえたインドカレーだ。彼は伝説のロック喫茶「ナイロン100%」の初代店長を務めた人で、その後テレビ業界に身を置き、「カルトQ」などのクイズ番組を手がけた人物。いまはイベントのプロデュース、編集、物書きを生業にしている。彼と知り合ったのは、装丁家の白畠かおりさんを通じて、もう十数年前のこと。

※カウンターにちょこっと見えるのがマスターの佐瀬さん。

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「小野さんに会いたいって人いるんだけど、どう?」

「ああ、ぜひぜひ」

ということで三宿の住宅街にあった「蓮月」を訪れた。

「彼がいまキッチンでカレー作っいるのよ、食べましょう」

運ばれてきたカレーはムルギーマサラ、いわゆるチキンカレーだ。一口いただくと、あまりの美味しさに驚いてしまった。手前味噌だけど、僕の作ったカレーより美味しいものに出合ったことがなかった。でもこのカレーは超越していた。塩加減絶妙、スパイスのバランスの見事さ、非の打ち所のない味わいに、思わず立ち上がって、厨房に飛び込んで、

「このカレーメチャメチャ旨いですよ!」

「いや、それはどうもありがとうございます」

それから親交が始まった。

この「蓮月」は近隣との騒音トラブルで移転、現在「池尻」から246を渋谷方面に行った左手のマンションの一角で営業している。店主は佐瀬さんという人物で、明るく元気で人柄の最高の人。前の店に比べて6分の1ほどの狭小スペースながら、いつも賑わっている。朝方まで営業していて、ついつい長居してしまう。中村さんは諸事情で、遠方にいるけど、たまにこの店に訪れてカレーをこしらえることがある。

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ご覧のものがそれ、たしかこの日は「ポークビンダルー」(南インド、ゴア州の名物カレー、酸味の効いた味わい)だったかな。一緒に食べているのが装丁家の白畠かおりさん。これも美味しかった。

そういえば昔ここで中村さんと、常連の可愛い女編集者が麻婆豆腐対決をしたことがあった。双方とも、その辺の中華料理屋よりはるかに旨いもの作っていたね。


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