過日、神保町のバー「しゃれこうべ」で物書きの坂崎重盛さんとバッタリ遭遇した。
「あれ小野さんなんでここに」
「いや、こっちのセリフですよ」
坂崎さんと同席していた某雑誌の編集長とカレーや居酒屋の話で盛り上がる。
「トーハンの近くに喫茶店の『未地』ってあってそこのカレーがしみじみ旨いんですよ」
という話になった。トーハンのとは東京出版販売のこと大手の書籍雑誌の問屋だ。そのあたりはサラリーマン時代に取引先があり出没していた地域で馴染があるけど「未地」なんて喫茶店あったかな。気になって訪れるとその外観に何となく記憶がある。
「そういえばここでよく打ち合わせしたな…」
食事をした記憶はない。
店内は4人テーブル5卓に2人テーブルが4卓とゆったり。老夫婦で営まれている。メニューはハンバーグ、カレー、ピラフ、ナポリタン、ミートソースと喫茶店らしいラインナップ。
「カレーライスください」
「お飲み物お付けしますか」
「いえ大丈夫です」
途中歩きながらコーヒーを飲んでいたもので。ゆるゆると地元民やサラリーマンがランチに訪れ始める。
カレーライスは見るからに喫茶店ならではのデコレーション。具はニンジン、豚肉、玉ネギにシメジ。そして一口。
「ああなるほど。美味しいね」
池袋の居酒屋「うな達」や要町の蕎麦屋「可祢井 」のカレーに通じるものがある。家庭カレーの延長線上の風情で柔らかで優しい味わいだ。ほんのり甘味くて旨味充実。特徴的な味わいはないけど、いつ食べても飽きの来ない美味しさだ。この近所に「キッチンタロー」があり、彼にそこのカツカレーを進めたいな、きっと気に入るはず。
〈店舗データ〉
【住所】東京都文京区東五軒町1-5-7
【営業】11時20分~14時
【休日】土・日・祝
【アクセス】東京メトロ有楽町線「江戸川橋駅」4番出口から徒歩7分