カレーの食べ歩きを始めて数年、20歳の頃に初めて訪れた店だと思う。当時「万定フルーツパーラー」のカレーは正直言って、あまみピンと来なかったけど、色々な店の食べ歩きを重ねてきて、改めてここのカレーライスの美味しさがわかってきたような気がする。
この界隈でたまに訪れるのは「ルオー」、「ダージリン」、「麦」、昔は「サンライズ」や「ハヌマーン」によく通ったけど、すでに閉店してしまっている。
本郷通り、東大正門前に佇む大正3年創業の風情はモダンでクラシカル。
燻し銀の店内の色合い、半円形のカウンターは独特な雰囲気を醸す。マスターがいたはずだけど、いまはママさん1人。カレー以外に生ジュース、ハヤシライス、ナポリタンなどのメニューもあるが一度も注文したことがない。ただひたすらカレーライスのみ。
褐色でサラサラなカレーは深い旨味とコク。仄かなビター感は小麦粉とカレー粉を徹底的に焙煎したブラックルーによるものなのか。
神保町、大正13年創業の「共栄堂」もそうだけど、当時この手のカレーは相当センセーショナルだったに違いないし、今でもその見た目と味わいは他店で比肩するものはない。
またどこか渋谷の「ムルギー」に通じるものがあるし、御茶ノ水にあった「インデラ舟」はこの店のカレーをモチーフにしていたんじゃないかと、勝手に推測している。
〈店舗データ〉
【住所】東京都文京区本郷6–17–1 電話:03–3812–2591
【営業】11時〜15時
【休日】不定休
【アクセス】地下鉄南北線「東大前駅」1番出口から徒歩7分。 地下鉄丸の内線・都営大江戸線「本郷三丁目駅」から徒歩8分
東京都文京区本郷6–17–1