川崎の高津駅は降りたことがなかった。実は溝の口に用があり、各駅停車に乗ってたせいか、寝ぼけて降りてしまった。
「こりゃ何かの縁だな…」
小1時間ほど街を徘徊。これといった店が見当たらない。駅前の府中街道を246方面へ真っすぐ、246との溝の口交差点をさらに真っすぐ。右手に八百屋が現れる。よ~く見ると隣が食堂の風情。
「これ食堂ですか」
と八百屋のオジちゃんにたずねるが、
「はー?」
耳が遠いのだ。
「この食堂やってるんですか!」
と大声で聞いたら、
「はいはい、やってますよ、どうぞ」
ということで突入した。店内は狭小で6人テーブルが1卓のみ。
※食堂から見える隣の八百屋。
「いらっしゃい」
オバちゃんの登場。
メニューは丼物、うどんなど20数種類。なんと価格はどれも3、400円、いちばん高い「野菜天ぷら定食」、「焼きめし」が500円ときたもんだ。
「メチャメチャ安いな…。メンチ目玉カレー下さい」これも400円。
7、8分ほどでカレーの登場。
「シャジはそこにありますから」
えっシャジ? ああ、スプーンのことね。この言葉久しぶりに聞く。
レタスなどの野菜が敷かれ、ライスの上にはたっぷりカレーとメンチに目玉焼き。このボリュームで400円とは恐れ入る。しかしちょいデコレーションがイマイチだね。そして一口。
「美味しい…」
家カレーの延長線上にある味わいながら、何かが工夫されている。ほどよい辛味、軽やかな旨味、いいね。具はカボチャ、玉ねぎ、にんじん、豚肉。
メンチはちょい揚げ過ぎだけど、カリっとホクホクでシットリ、これ自家製のようだ。
途中目玉焼きの黄身を崩していただくとマイルドになってまた美味しい。
食べ終わるころにカップルが入店。
「いらっしゃい。上着はエモンカケにかけてね」
エモンカケ? ああ、ハンガーのことね。この言葉も久しぶりに聞く。カップルもそのフレーズに顔を見合わせてほほ笑んでいた。
「美味しかったです」
「どうもね」
400円を渡し、表に出るとさっきのオジちゃんが丁寧に挨拶してくれる。ここいい店だ。いつ来るかわからないけど、メチャ気になったメニューが「飛龍頭マグロ定食」、「カシラ定食」、「ビビリ丼」、「一人鍋」、これに挑戦しなきゃ。
〈店舗データ〉
【住所】神奈川県川崎市高津区久地1–9–21 電話044–822–2823
【営業】7時~19時
【休日】日
【アクセス】東急田園都市線「高津駅」西口から徒歩約8分