長野駅と市役所駅前駅の間を、なにかいい店はないかと散策していた。善光寺の方角は漠然とわかるんだけど、正直どこを歩いている見当がつかなかった。
道すがら「サリーカレー」というカレー専門店を発見、とりあえず候補に入れておいた。
「あれ~どこからカレーの匂いがするんだろう…」
辺りを見渡すと「ライスハウスABAB」という、奇妙な看板。
「ここなのか?」
どうやら2階のようで恐る恐る階段を上り、中を覗いてみた。70前後のご主人が1人、喫茶店のような風情の店だった。一旦降りてちょい悩み、突入することを決意した。
店内は変形のカウンター10席に、窓際にカウンター7席。
メニューはカレー、オムレツ、ナポリタン、ハンバーグなどを組み合わせた洋食の定番メニューでバリエーションを演出している。
「ハンバーグカレーとアブアブライスのカレー味で」
「はい」
なんだかご主人はぶっきらぼうでまるで商売っ気が全くない。しばらくすると初老のカップル、3人家族の2組の入店。ちょい賑やかになり安心する。
カウンター内の棚に奥さんとご主人の似顔絵。今のご主人から想像のつかないフレンドリーな笑顔の姿。ひょっとしたら奥さんは亡くなられたのだろうか。たぶん奥さんが接客で、ご主人は黙々と料理を担当していて、奥さん亡きいま両方をこなすのが大変なのか、或いはその悲しみがいまだ癒されていないのかもしれない。
ハンバーグカレーを一口。
「美味しい」
洋食カレーは小麦粉、カレー粉の割合がドンピシャ。滑らかな口当たりでほどよくスパイシー、そして軽やかな旨味。
ハンバーグは特筆するものはないけど、これもいい。
アブアブライスのカレー味はドライカレーの上にオムレツ、その横にピーマン、玉ねぎが合わさったカレー。
オムレツはフワトロで、やや粉っぽいドライカレーと相性がいい。
またオムレツと野菜カレーを一緒に味わうと、高田馬場にあった「夢民」をホウフツとさせる美味しさ。手前味噌だけど、店を選択する自分の嗅覚にちょい自惚れた。
ご主人の腕は確かだな。一般の洋食屋でもこの手のカレーは提供してくれない。近くにあったら月一で通いたい店だ。食後にコーヒー。美味しかったです。
〈店舗データ〉
【住所】長野県長野市鶴賀南千歳町880–1しらかばビル2階 電話026–224–4723
【営業】11時45分~16時30分 土・日・祝11時45分~15時
【休日】不定休
【アクセス】JR信州本線{長野駅}から徒歩6分 長野電鉄長野線「市役所前駅」徒歩6分