神楽坂「紀の善」甘味屋の鴨雑炊


甘味屋「紀の善」を訪れるのは数年振り。この店を知ったのは20年ほど前のこと、とあるお店のママからの誘いだった。そんな思い出を語ろう。

DSC02350

強靭な僕の胃袋もたまに萎えてしまい何も受けつけなることがある。

「かわいそうになー、いつもガツガツ食べる小野さんの顔が好きなんやけど。あんな~、調子がすぐれんでも胃にすんなり入る鴨雑炊があんねんで、食べに行きひん?」

大阪、京都と各地の店を転々として、阿佐ヶ谷のバーに雇われママとして納まった彼女。僕にはいつも優しい言葉をかけてくれる。その日、後楽園の「ラクーア」という温泉施設で二人、ひとっ風呂浴びた後、神楽坂の「紀の善」へ向かった。

DSC02336

DSC02345

DSC02346

彼女は「えび釜飯」、お勧めの「鴨雑炊」を注文する。フツフツと湯気の立つ直径30センチほどの大きな土鍋には、表面を覆うフンワリとした玉子に萎えていた気分が奮い立つ。まずは一口大のゴマ豆腐をいただき、胃をちょいと刺激する。

DSC02348

「フーフーゆうて食べんねんで」

そんなことは百も承知だけど、そのやさしい言葉にホロリとくる。そして熱々を一口。「あ~、胃が生き返る」三つ葉のほのかな香り、シメジや百合根の舌触り、限りなくやさしいダシの味わい。脂身が落とされた鴨をちょいとつまめば、生姜と醤油で下処理された鴨の口当たりがなんとも心地よいのだ。合間に柴漬けのみじん切りを含みまたいただけば、さわやかな塩気と酸味が雑炊の味を引き締めるのだ。

「なんや、食欲あるやんか」

食後に僕は「あんみつ」、彼女はこの店一番人気の「抹茶ババロア」をほおばりながら、ちょいと背徳の一時を過ごしたのだった。

DSC02339

彼女は今なにをしているのだろう? 久々に熱々の「鴨ぞうすい」をフーフー言いながらいただくと、楽しかった日々が蘇る。「抹茶ババロア」も思い出の味、ババロアには砂糖が添加されていなく、生クリーム、つぶあんで甘味の彩を添えるのだ。ちょっと値段高めだけど、このコンビたまに食べたくなるんだよね。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください