東高円寺は滅多に来ないけど、極々たまに焼き鳥の「川中屋」、中華の「満州王」、蕎麦屋「松月庵」にお邪魔するぐらい。
「なんだかヘンテコな入口で、昔夜に一度だけ入ったんだけど、店内はガラクタみたいな味わいの小物が所狭しと飾ってあってさ。なに食ったか覚えてないんだけど、美味しかったんだよ。でも最近夜に店やってる気配がないと思ってたら、突然昼営業してて。なんかカレー出したるみたいだから小野に報告しとこうと思って」
と東高円寺に住んでいる友人からの情報だった。
高円寺駅からだったので結構歩いた、徒歩12分かな。環七の手前の細い路地を入るとクルマがそのまま置いてある店の入口が現れる。
「ここか…ホント怪しいな…店の名前なんて言うのかな? 『平日昼だけ』えっ!これ店名なの?」
店先にいろいろ看板が出てて、どうやらやってるようなので恐る恐る扉をあけた。
「いらっしゃいませ」
と可愛らしい給仕の女の子。
「お好きな席へどうぞ」
友人が言ってたとおり、帽子や、ギター、バイオリン、カバンなどが天井からいたるところにデコレートされているのにはちょい驚き。
なんだか高円寺らしい趣。中野にあった名曲喫茶「クラシック」を思い出した。座った席の椅子のデザインがどこかロココ調の風情。
水はクリスタルカイザーのペットボトル、これ珍しいって言うかなんか微笑ましい。
「メニューは一種類で、カレーや、お肉を増量することもできます」
「じゃカレーに温泉玉子つけて下さい」
しばらくするとカレーを持ってゆっくりゆっくりボクの席に近づいてくる。
「お待たせしました。ごゆっくりしてください」
シャバシャバなスープ状のカレーがなみなみ注がれていから、こぼさないようにゆっくり運んでいたのだ。
「和だしそぼろカレー」980円+温泉玉子100円。カレーの具は玉ねぎだけ。ライスの上には鰹節、揚げ玉、大葉、ひき肉、中を探ると練り梅にタケノコの角切りかな? まずはカレーを一口。
「う~ん美味しいね」
これ蕎麦屋のカレーそのもの。片栗粉でしめていないのでシャバシャバなのだ。出汁、塩加減、カレー粉の塩梅が優しくいい味。
これにご飯とともにそぼろや鰹、梅が合わさるとさらに美味しくなる。
「これは盲点だな…」
また揚げ玉がちょいサクッと香ばしくいいアクセント。
最近スパイス系のカレーが流行っているけど、その真逆。これは面白い。
途中温玉を崩していただくとまた旨い。
バクバクいただいてあっという間に完食。店内中央にコーヒーがありセルフサービス。
「美味しかったです」
「ありがとうございます」
ご主人は40前後かな。
「いつから店やってるんですか?」
「半年ほどですね。この店自体は4年前からあるんですが」
どうやらここは「シュワルツカッツ」という店名で、昼に間借りして平日だけ営業しているようだ。店名の謎に合点がいった。しかし「妄想インドカレーネグラ」といい、高円寺界隈はホント変わった店が多いな。
〈店舗データ〉
【住所】東京都杉並区梅里1–21–21 電話03–6383–1448
【営業】11時30分~15時
【休日】土・日・祝
【アクセス】地下鉄丸ノ内線「東高円寺駅」1番出口から徒歩4分 JR総武線・中央線「高円寺駅」北口から徒歩12分