「今日飲み会なのお忘れですか?」
えっ! と慌ててカレンダーを確認する。なにも書いていない。薄らと記憶が蘇る。ヤベー!
「今すぐ行きます。しばらくお待ちください」
とパンの評論家、福地寧子さんにメールした。
門前仲町駅から清澄通りを渡って裏路地に、お世辞にも綺麗とは言えない佇まいの中華料理屋「宝家」があった。
「ここで飲み会?…」表の扉は開かず、しかたなく厨房を覗くと、
「待ち合わせですか?」
と店主。厨房を抜けてフロアーへ、店内は満席で、一番奥の入口前に仲間5人が陣取っていた。どうりで扉があかないワケだ。
「すいません、遅くなりました」
「はい、かけつけ3杯」
夜はコース料理のみで、飲み代含めて1人およそ5000円ってとこか。「メロウの煮付け」、「刺身盛り」、「メロウのカマ焼き」、「フグの唐揚げ」、「ステーキ」、「餃子」など。
ちょい高めだが、肉、魚料理の大皿の数々に圧倒され、それもどれをいただいても旨い! これが中華料理屋なの、って感じ。餃子は自家製の皮で手作り、薄皮でパリパリ、シットリジューシー、下味かしっかり入っているので、タレをつけなくてもそのままでいただける。〆に「半ラーメン」でフィニッシュ。これが素朴で美味しいのよ。
なんだかこの店は面白いね。70前後のご夫婦2人で切り盛りされている大量のつまみなので当然食いきれない。残ったものはすべてお土産にしてくれるのがまたありがたい。
数日後昼間にお邪魔した。
「あれ、この間のお客さん。ありがとうね」
「いや~、美味しかったんで、ラーメン食べに来ました」
「チャーシュー出来たばっかりだから、これ美味しいよ」
「餃子ありますか」
「夜しかやってないのよ」
ということで、「チャーシューメン」に「ワンタン」をプラスしてもらった。900円だったかな? ご覧のものがそれ。
潔いエッジの尖った醤油スープ、迫力の豚バラの焼豚が4枚。一口すすり、焼豚を噛み締める。ワイルドな肉感、ほどよい歯ごたえ、旨味凝縮。
「旨いっスね」
中太のややウェーブ麺はツルツル滑らかでモチモチ、いかにも中華屋の僅かに具の質素なワンタンが、チュルンとして心地よい。
この店いいですよ。
〈店舗データ〉
【住所】東京都江東区門前仲町1–12–5 電話03–3643–4538
【営業】11時30分~13時30分 18時~23時
【休日】日
【アクセス】地下鉄東西線・都営大江戸線「門前仲町駅」3番出口から徒歩2分