明治17年創業、戦火をまぬがれた建物は重厚で歴史を感じる。この店に通ってかれこれ30年ほど。ここの蕎麦は石臼で蕎麦の表皮と一緒に挽いた「挽きぐるみ」と呼ばれるもの。麺はやや長めで、ちょっとざらつくはずの「挽きぐるみ」だけど、ここはツルッとした喉越しで、濃い口のツユはやや甘めでこれがいい。
店内はいつも超満員。この繁盛ぶりは味もそうだけど、値段がお手頃価格でほどほどの量があるからだろう。だいたい老舗と呼ばれている店の蕎麦は高めで、量が少ないと相場が決まっている。昼間にも関わらず、訪れる誰もがビールや日本酒で「焼鳥」や「かまぼこ」をつまみに一杯やっている。その景色がいかにも老舗蕎麦屋って感じで大好きだな。
といっても、僕はこの店でほとんど蕎麦を食わない。そう「カレー丼」があるからだ。具は鶏肉、カレーの味わいは蕎麦ツユを多めに入れているので、ちょっと濃い目で甘口、どちらかというとカレーの風味より蕎麦ツユのほうが勝っている。ワシワシカレー丼に食らいつきながら、合間にお新香、お吸い物で口中をリセット、再びカレー丼をむさぼる。「あ~旨いね」。それを繰り返しものの5分で完食、いつもこんな感じ。
このカレー丼、二日酔いの日にはピッタリなんだよね。