浦安駅にある「浦安魚市場」をご存知か。魚を買い求めるとき、東京在住の人ならば築地へ行く人々が多いかな。僕の場合は、御徒町の「吉池」、練馬の「魚市場旬」、そしてこの「浦安魚市場」が面白くて仕方がない。
この日は、真ダコ、アサリ、シジミ、鯛の白子、タケノコなどを買い求めた。
とにかくどの店も新鮮でえりすぐりの美味しいものが揃っている。ちょい割高だけど仕方がない。
その後の楽しみはなんといっても腹ごなしってことになる。市場内にある食堂は3店舗。「中国飯店」、「味館食堂」もいいけど、味わい深いのは「よっちゃん食堂」だ。
店内は左手に6席カウンター、右手壁側に4人のカウンター、計10席だ。
オバちゃん3人で店を切り盛り。客層は地元のご隠居、旅人が多く、だいたい朝っぱらからお酒を飲んでいる人が多い。
「カレーライス」650円と「マグロブツ定食」950円をオーダー。
「わかってるね~、カレーは何気なく旨いし、マグロもサイコー」
とビールを飲んでいる品のいい隣のご隠居が話しかけてくる。
「いえいえ」
陽気なご隠居で気分がいい。
カレーライスはなんの変哲もない絵姿だけど、ご隠居のおっしゃる通り、何気なく旨い。
具はジャガイ、モニンジン、豚肉と、いたってシンプル。
ほどよいトロミ、軽やかながら深い旨味、嫌味な甘さは一切なく穏やかに美味しい。これ福神漬けにピッタリだ。
マグロブツは見るからに新鮮。赤身の下にトロが隠れているところが実にいい。旨味、微かな酸味、これは上物だ。そしてアサリの味噌汁がバツグンの美味しさ。お新香もご飯も文句なし。
その他、天丼、天ぷら定食、アジフライ定食もいいんだな。
「オレ、海老天が食いたいな~」
「いま揚げちゃっていい?」
「お願い」
とご隠居がつまみの天ぷらを注文すると、なんと芝海老を剥き始める。アルゼンチン産の赤エビやインドネシア産のブラックタイガーじゃない。日本産の芝海老だ。食べたばかりだけどこれ食いたい。またの今度にしよう。店の造りは普通の定食屋なんだけど、侮っちゃいけない。最高の料理を提供してくれるぞ。それと、瓶ビールは水を張ったバケツで冷やしているところがなんとも憎い演出だ。
「でも参っちゃうよな、ここも来年の3月で閉店したら、オレどこ行きゃいいのかな」
「えっ、この店閉まっちゃうんですか?」
「そうなんだよ。耐震の問題があって建て直すららしいんだけど、この店そのままやめちゃうんだって」
なんと悲しいお知らせだ。それまで浦安にせっせと通わなきゃ。
〈店舗データ〉
【住所】千葉県浦安市北栄1–10–20浦安魚市場内 電話047–351–5751
【営業】5時~11時
【休日】月
【アクセス】地下鉄東西線「浦安駅」から徒歩3分
【喫煙】不可