池袋駅西口交番前で7時30分に待ち合わせ。友人2人のボンボン社長が現れる。友人といっても随分年下だけど、この2人は某名門私立の小・中・高の同級生、なぜかその仲間に加わっている。
「どこいきますか?」
「う~ん、この間「千登利」だったから、「豊田屋」にしようか、う~ん」
3人思案する。
「たまには別のところにしましょうか」
とあたりをプラプラ。ここでもない、あそこでもないと徘徊。
「この店知らないな」
「入ってみるか」
と突入。しっかりとした造りの店内、入口奥が座敷で右手がL字のカウンター8席ほど。
「カウンターしか空いてませんが、どうぞ」
「とりあえずビールお願いします」
「はいかしこまりました」
ビールで喉を潤す。メニューが見当たらない。
「コース料理のみとなっておりまして」
「えっ、それ早く言ってよ」
「5千円、7千円、1万円とございますが」
「いいか、じゃ5千円で」
カウンターには70前後のご主人とその息子さんと思しき板前、そして給仕の女子アルバイトの3人で切り盛りしている。焼き場では小魚が綺麗に並べられ焼かれている。
「先付けです」
と登場したのが「ジュンサイの梅酒の実和え」。ツルンとしたジュンサイ、梅酒の実の甘酸っぱさがこの季節を先取り、爽やかだ。そして「ハモの吸い物」。
「ダシがいいな、ハモ食べるの久しぶりだ」
途中日本酒に切り替える。秋田の「八重洲本醸造」1種類のみ。それを冷でいただく。
「小物4種」は、とおもろこしの練り物入り・焼きタラコ・ソラマメ・からすみ。
「それぞれ美味しいし、物がいいね」特にレアな焼きタラコが旨い。
お造りは「本マグロの赤身と鯛の昆布締め」鯛の塩加減と締め具合がドンピシャ。
「ここ旨いな」
「この界隈でダントツじゃないスか」
ボンボン社長2人とも、子供の頃からいいものを食っているのでよくわかっている。
そして焼き物は「小アユの塩焼き」。先ほど焼き場で焼かれていたものだった。香ばしく繊細な焼き具合。「茶碗蒸し」も文句なし。
「はいどんどん食べてね~、次いくからね~」
とフレンドリーなご主人。
「蒸しアワビとアワビのゼリー寄せプルーン合え」、
「海老?鯛?しんじょうの何かのすり流し」。他にも「ガリの炊き物」もあったけど、写真が見当たらない。3人バクバク食べていると、
「食べるの早いね~」とご主人ニコニコ。
次に「鯛の塩辛」。塩と味醂の加減がいい。
「これいい器だな~」
「よくお解りで、高いんですよ」
記憶違いかもしれないけど1個8千円とか言ってたかな、なんせ酔っているもので記憶が曖昧。
サービスに「鰻の肝の山椒煮」、これ乙な味わい。
これ何だったか思い出せない。これもサービス品。
そして「香の物」、「しじみ汁」、「お茶漬け」美味し。
〆のデザートは「抹茶ムース」となった。この店、なにを頂いてもスキがない。
「お店何年ほどですか?」
「45年ですね」
「え~、ぜんぜん知らなかった」
この界隈はかつて三業地で、30数年前、区画整理がされる以前は2階屋の連れ込み旅館なども多く点在していた場所で、また「ささ」という渋い居酒屋もあり、文人墨客に愛されていた界隈だ。
「赤坂や銀座の割烹行くんだったら、ここの方が美味しいな~」
と3人納得。もうお腹いっぱい。
「ホントに美味しかったです」
「ありがとうございます」
とご主人と息子さん。まだまだ隠れたいい店はあるものだ。
〈店舗データ〉
【住所】東京都豊島区池袋2–51–1ビラアコルデ1階 電話03–3982–4547
【営業】17時30分~23時(L.O.22時)
【休日】日・祝
【アクセス】JR「池袋駅」北口から徒歩5分
「店のHP」http://www.toshima.ne.jp/~yoshino7/