「椎名町に『ジョージファイブ』ってハンバーグ屋があるんだけど、メチャ旨いんだよ。小野に食べてもらいたいな」と江古田に住む友人からの情報だった。
椎名町は埼玉からのドライの帰り、要町通りから横町に入って通り過ぎる場所で、立ちそばの「南天」、中華「中華十八番」、「銀楽」、焼きトン「やまちゃん」、洋食「キッチン彩」は頭に入っているけど、この店は知らなかった。
店内は縦長で、カウンター8人席。50前後のお兄さんが1人で切り盛り。この日一番乗りでカウンターの真ん中に座ったが、あれよあれよという間に、カップル客が押し寄せ、結局奥の席に移動する始末だった。かなりの人気店のようだ。
メニューはソースにより4種類で、どれも850円となっている。
「ペッパーって何ですか?」
「それは和風のソースです」
「じゃデミグラスで、チーズお願いします」
チーズはなぜか無料のようだ。
作り方を見てちょい驚き。成形したハンバーグを中火で熱した油の中に入れて熱を通し始める。このやり方は初めて見た。また付け合わせの具材など、注文が入ってから一つ一つ調理する仕事の丁寧さ。
熱々の鉄板にジュージューとデミの弾ける音。添え物はフライドポテトにインゲントウモロコシ、目玉焼き。ハンバーグにナイフを入れ一口。
「旨い!」
驚きの美味しさ。プルンとするような限りなくふっくらとして舌触り。仄かなナツメグの香り、肉汁が滴るというのではなく、肉にしっかり旨味が閉じ込められている。こんなに美味しいハンバーグを食べたのはいつ以来だろう。デミソースの塩梅もよく、スキのない美味しさだ。
パティの作り方もあるけど、これは油でボイルすることに秘密があるのか。
ハンバーグは洋食屋だとフライパンで両面に焦げ目をつけて、そのままオーブンに入れて熱を通すことが多い。それはフライパンでひたすら熱すると肉汁が逃げて、肉がパサパサになる傾向があるからだ。記憶を辿れば、かつて早稲田大学の「大熊通り商店街」にあった洋食屋「ボンマルシェ」のミートボールも同様の作り方をしていた。
※これ「ボンマルシェ」。メンチカツの後ろに黒く見えているのがミートボール。
そのミートボールの食感と極めて似ている。油でボイルすると言えば門前仲町の「キッチンまつむら」では、生姜焼きの肉を油に投入して火を通していた光景を思い出す。
※「キッチンまつむら」のメンチと豚生姜焼き。
フランス料理のコンフィやスペイン料理のアヒージョも似たような作り方だな。実に面白い。次は別のソースでいただこう。
〈店舗データ〉
【住所】東京都 豊島区長崎2-12-3 電話03-3554-5321
【営業】月・火・木・土11時30分~13時30分 水・金11時30分~12時30分
【休日】日
【アクセス】西武池袋線「椎名町駅」北口から徒歩2分