そんなに数をこなしているワケじゃないけど、ヌーベルキュイジーヌ(創作フランス料理)を謳い文句に掲げる店で、ピンと来た処がほとんどない。だからもう行かなくなってしまった。だったらオートキュイジーヌ(正統派フランス料理)でどっしりした料理が食べたいと原点に帰ったのが、ここ最近。でもオートキュイジーヌの店も値段に見合った店が少なく、唯一すごいと思ったのは、それなりの値段は張るけど、すでに撤退してしまった「芝パークホテル」にあった「タテルヨシノ」(2015年1月に閉店)は満足した。現在は銀座本店と、わりとリーズナブルに料理が楽しめる汐留「パークホテル」にある。
広尾界隈にはほとんど縁がなく、飲みに来たこともない。だけど、オートキュイジーヌを売りにしている店ということで「アラジン」を予約した。
今回は「シェフのお任せコース」10000円。
アペリティフのシャンパンでちょい喉を潤す。次に白ワインの「シャブリ」。
最初に登場したのが「コンソメゼリーとウニ」これ旨い。
塩水ウニは別として、一般的なウニはミョウバンの香りはどうしても気になるもの。これはコンソメゼリーの力強い味わいが、いい具合に特有のクセを消してくれる。だけど、ウニの風味は生きたまま、これいいね。
次に「エビとホワイトアスパラ」は特筆するものはないけど、エビの甘味がアスパラに加味され食欲を刺激する。
「阿寒湖のザリガニとジロール茸の軽い煮込み」は、スープは飛ばされていて、ドライ。グリーンのツクシが綺麗だね。ザリガニのしっかりとした旨味、ジロール茸の微かな甘酸っぱい香りがアクセント。これ北海シマエビで食べてみたい。
「アユのカレー風味の玉ねぎとアンチョビと黒オリーブのタプナード」美しい焼き色、綺麗に骨抜きされて、非常に食べやすい。カレー風味の玉ねぎ、タプナードのほろ苦さが淡白なアユにアクセント。
※ピントが外れていてスマン。
「鴨のポアレ」やっぱ鴨は旨いね、サッパリとしながらどこか濃厚な旨み、ベリーソースがやはりマッチしている。
デザートは「パッションフルーツ、ココナッツムース、グレープフルーツのゼリー」と
「チェリーとアーモンドクリームのタルトレット&キルシュアイスクリーム」このキルシュ(サクランボのブランデー)の香り付けは定番だけど、サクランボの香りがアクセントになってとても美味。
食後のコーヒーとともに曲げわっぱにデコレートされた「マカロン、柑橘類ゼリー、チョコトリュフ」でフィニッシュ。
ギャルソンの接客もフレンドリーで非常に感じがいい。そういえば隣にいたカップルのオヤジさん、ハードボイルド系の作家さんだった。
「オレはデザートはいらない」
とおっしゃっていたのが印象的、やはりハードボイルドだね。
お会計は2人で、3万円ちょっと。2軒目を考えていたので、ワインを控えていて、カパカパ飲んでいたらもうすこししたかもしれないね。
いずれにしても気持ちよく食事のできるいい店、でもこれがオートキュイジーヌと言われると、かなり日本人向けにアレンジされている料理かなって思った。
〈店舗データ〉
【住所】東京都渋谷区恵比寿2–22–10広尾リバーサイドG1階 電話03–5592–3709
【営業】12時~15時30(L.O.14時)18時~23時30分(L.O.21時30分)
【休日】不定休(電話で確認)
【アクセス】地下鉄日比谷線「広尾駅」1、2番口から徒歩5分