山形県一の繁華街といったら七日町。ここに来るのは何年ぶりだろうか。ホテルにチェックインする前に某ラーメン屋の主人と店長3人で界隈を徘徊し、あるていど目星をつけてきたけど、夜になるとちょっと様変わりする。
「この辺に『にこみや』っていういい店があるんだけど、どこだったかな…」
あたりを探すとそれらしい店があったが、明かりがついていなくまるで開く気配がない。
仕方がない。
「なんかこの『きん太』って居酒屋、いい店っぽくない?」
3人突入し、カウンターに腰掛ける。
「この店、雰囲気があっていいっスね」
L字のカウンター、奥はテーブル席。年季の入った焼き場のオヤジさんと、若い旦那、バイトの娘たちで切り盛り。まずはビールで乾杯。
お通しは「ボテサラダ」、
昼にラーメン2杯やっつけているのでいまだ腹がすかない。でも何か頼まなければと「しなべきゅうり」、「焼き鳥の盛り合わせ」を注文。
お通し含めてどれも旨し。焼き鳥は香ばしくいい塩加減、また焼きが上手なのだ。
「全部旨いっすね」
「この店、東京にあったら週3で通っちゃうな」
「ほんとっスね」
ここを早々にひきあげ、つぎに「花小路」という居酒屋が連なる怪しい界隈で「焼肉司」に突入。
店内はサラリーマンやカップルで賑わっている。
一通り注文していただいたがどれも旨し、はやるのもうなづける。
次に「スタンド割烹いし山」に入ると気のいいマスターがお出迎え。
「お腹すいてないでしょう」と察してくれて、お通しのみ「イクラサラダ」と「アケビの鶏肉の詰め物」これなかなか乙な味。
日本酒、「泉氷鑑」(いずみひょうかん)をいただきながら、ラーメンの話で盛り上がる。
「やっぱ『琴平荘』のラーメンでしょう」
と店主。「琴平荘」は鶴岡にある旅館で、夏場は通常営業だが、冬場にラーメン屋に様変わり、これがメチャ旨いとのウワサ。「いし山」をお暇して、バーで軽く一杯。
「そろそろやってるかな…」
店の前に行くと「赤鬼」の明かりがついていたので突入した。この店、夜の9時過ぎから12時ぐらいまでしか営業していない珍しいラーメン屋で、メニューはラーメン650円とワンタン麺700円の2種類。
店内はL字のカウンター、その横には人型のオブジェ。確かこの店、先代がおでんの居酒屋をやっていたが、他界してからラーメンのみを出すようになったと記憶している。だからカウンターにおでん鍋が備え付けてあるのだ。
「なんスかこの奇妙な店、ホントにラーメン出すんスか?」
店主は大柄なお姉さん一人。前に来たときは気のいいお婆ちゃんがいたはずなんだけど、お亡くなりになったのか。
「ラーメン三つ」
大柄なお姉さんはうなづくと、奥の厨房でラーメンをこしらえ始める。しばらくすると〆のラーメンを求めてサラリーマンが押し寄せ、あっという間に満杯。
「こんな遅くから、すごい店っスね」
ご覧のものが「赤鬼」の〆ラーメン。奇をてらわない潔い姿かたち、肩ロースの焼き豚2枚に細メンマ、青ネギ。そして3人でズズ~。
「いいっスね」
「こんだけ飲んだのに胃にすんなり入っていきますね」
実にいいスープだ。麺の固さもほどよくスルっと喉を流れてゆく。あくまでも寡黙な大柄のお姉さん、麺をすする音だけが店内をこだまする。
〈きん太・店舗テータ〉
【住所】山形県山形市七日町2-3-5 電話023-634-2266
【営業】17時~24時
【休日】日曜日
【アクセス】JR「山形駅」東口から徒歩16分
〈焼肉司・店舗テータ〉
【住所】山形県山形市七日町4-10-3 電話023-632-2424
【営業】16時~翌4時(祝日は翌3時)
【休日】不定休
【アクセス】JR「山形駅」東口から徒歩20分
〈スタンド割烹いし山・店舗テータ〉
【住所】山形県山形市七日町2-5-10 電話023-622-1493
【営業】17時~22時
【休日】日・祝
【アクセス】JR「山形駅」東口から徒歩18分
〈赤鬼・店舗テータ〉
【住所】山形県山形市七日町4-1-3 電話023-632-2425
【営業】21時ぐらい~24時ぐらい
【休日】土・日・祝
【アクセス】JR「山形駅」東口から徒歩17分