船橋で打ち合わせがあり訪れる。ここはいささか遠いな。2時間ほどで終了した。「せっかく来たから、大神宮下まで一駅だしサールナート行ってみるか…」
そもそもこの駅に来るのは4年ぶりかな。サールナートの店先には数人の行列。相変わらず人気店でなによりだ。かろうじて2人席が1卓空いた。
「あれ小野さん?」
「いや~ご無沙汰してます」
ご主人はすっかり白髪交じりになっていた。
「もう年金もらう年になっちゃいましたよ」。
「ボクもそんな感じですよ」
「アジャンタにいた知り合いも亡くなったりして…」
アジャンタとは市ヶ谷の南インド料理屋だ。ご主人はそこの出身である。
「どうします。お任せでいいですか?」
「はいお願いします。それとチキンティッカも」
しばらくすると表にまた行列。ご主人の同級生3人が訪ねてきたりと忙しい。
ターリー盆にたっぷりのサラダと玉ねぎのアチャール。手前がマトンカレー、その上がチキンバターマサラ、右が野菜カレー、その下がプレーンヨーグルトだ。
そしてライスとともにナンとなっている。とにかくボリューム満点。
マトンはサラサラでほどよくスパイシーで肉も柔らかで実に味わい深い。
野菜カレーはトマトベースでかなりの辛口。
特筆はチキンバターマサラ。これがこの上なく旨い。軽やかで仄かな甘みと酸味、そしてさわやかなコクがある。
「このバターマサラホントに旨いですね」
「いえいえ、モティで教えてもらったまんま出してるだけですよ」
モティとは赤坂や六本木にある老舗の北インド料理屋のこと。正直モティより美味しいな。
巷のバターマサラは重たくて甘過ぎる傾向にある。このバターマサラを見習ってもらいたいな。
ナンは嫌味にふっくらしていなくて、チャパティやロティの様で食べやすい。
チキンティッカは熱々柔らかでジューシー。これもメチャ旨。漬け込み用のヨーグルト、スパイス、塩の加減が絶妙で素晴らしい。
かなりの量があったのでお腹がパンパン。チキンティッカを1個持ち帰りにしてもらった。
「美味しかったです」
「また来てください。でも年なんでそろそろ引退するかも」
冗談だろうが、働けるまで頑張ってもらいたい。まだ65歳なんだから。とにかくサールナートは北インドカレー屋の中でピカイチだな。
〈店舗データ〉
【住所】千葉県船橋市宮本5-1-8 電話047-426-0231
【営業】11時15分~14時(30人前売り切れ終了)
【休日】水
【アクセス】京成線「大神宮下駅」から徒歩4分