「なあ、道頓堀って知ってるか、食ってみなマジ旨いぞ」
と、「光が丘」というマンモス住宅街に住む友人からの情報だった。16年前のこと。
この「光が丘」は元々「グラントハイツ」という米軍の住宅地で、僕の幼少期の遊び場で、よくMPに追っかけ回された思い出の地。このハズレの一角にあったのが「道頓堀」だ。現在は東武東上線「成増駅」に近い、川越街道沿いに移って相変わらず行列している。
店内に入ると魚介の風味が鼻先をかすめ胃袋が唸り始める。
「う~ん実にいい臭い」
この店に訪れるのも4、5年ぶり。券売機で「中華そば+玉子」770円と「焼き餃子」470円を注文。店員は誰も明るくホスピタリティーが極めて高く気分よし、いい店だ。
ラーメンは鶏ガラ、げんこつ、豚足に削り節。スープをすするとバランスよく実に旨い。焼豚はほどよく歯ごたえがあっていい。またメンマの歯触りと味付けも最高。麺をすすれば、モチモチ、シコシコのややウェーブのかかった中太麺、どれも抜群の安定感。
「やっぱ旨いわ~」
餃子はボリューム満点、肉と野菜半々の餡は下味があまり入っていないので、タレにつけるとちょうどいい。
「あれ? 小野さん、気がつかなかった」
と店主。僕より年下だけど、ちょっと老けたな?
「いや~、久しぶりです。バイクでちっょと通りかかったんで、久々に寄らなきゃって思って」
「ありがとうございます」
コショウを振りかけてまた黙々と食らい、あっという間に完食。
「相変わらずホントに美味しい、ごつそう様でした」
「いえいえ、また来てくださいね」