ランチに一度訪れてからご無沙汰していて、今回は夜のメニューにどんなものがあるのかお邪魔することにした。
「あら、来週かと思ってたけど、今日いらしたのね」
と店主、通称カレー子ちゃんが出迎えてくれる。店内はシックにしてモダン、木彫のカウンターテーブルは幅が広くゆったり。また奥に6人が余裕でくつろげるテーブル席もある。
※これは前に来た時のランチの「チキンカレー」
「ビール何にしようかな?」
「ベルギービールどうですか?」
「たまにはいいね」
いただいたのが「ヴェデットエキストラホワイト」700円。専用のグラスが可愛いね。仄かにフルーティーでなおかつ軽やかな飲み心地。
まずは最初に軽いおつまみ「すぱいすポテトサラダ」600円。
ポワプルロゼが散らしてあって彩のアクセント、クミンとコリアンダー風味が心地よい。
次に「ラムシガー」900円。
「葉巻に見立ててこのネーミングにしたのよ」
とのこと。確かに葉巻のようで面白いね。これはスパイスで煮込まれたラムを春巻きの皮で巻いて、フライパンで空焼きしたものだ。これも美味。どこかマサラドーサを思わせる食感。
次に白ワインに切り替える。「リヴィングアースシャルドネ2015年」800円。これはいわゆるビオワインで、亜硝酸などの変なものが一切添加されていない。この手のワインは飲みすぎても翌日残らないんだよね。
※箸休めの大根の酢漬け。
そこに一人の客が来店。
「あれ、小野さんじゃないですか?」
「えっ、どなたでしたっけ?」
「ボク太ったからわからないと思うけど『ネコ・パブリッシング』にいた池田ですよ」
「ああ、思い出した! でもなんでここに?」
「学大が地元で、この店には何回も来てるんですよ」
だそうだ。「ネコ・パブリッシング」とはモータースポーツの出版社。もう25年前、版元の営業マン時代によく問屋で会っていた同業者だ。彼は現在、池田直渡というペンネームでモータージャーナリストとして活躍。11月にプレジデント社から新刊が出るよ。彼は「ラムキーマ」1400円を注文。
「このカレー、ボクに妙に合うんですよね…」
と呟きながらしみじみと味わっている。その後、昔話や、クルマの話題で盛り上がる。
続いて「スパイストマトのチーズピザ」1200円。
生地もカレー子ちゃん手作り、店で栽培しているフレッシュオレガノの風味がいいね。持ち上げて撮影しようと思ったら、
「ボクが撮ってあげますよ」
と池田さん。一人で持ち上げて撮影するとけっこうピンボケが多いので助かった。さすが同業者。
〆に「ラムキーマ」ハーフ900円をいただく。ご飯は日本米とジャスミン米、15穀をブレンドし、軽くスパイスを入れて炊いたものだ。辛口でクローブをちょい効かせたワイルドなスパイス感がとてもいい。
しばらくするとまた一人の客。今度はカレー子ちゃん繋がりの知り合い、堀内さんだった。仕事は詳しく知らないけど、日本バスケット協会で何かをされている方。
「いや~どうもお久しぶりです」
「ホントだね」
「今日は不思議ね、こんなに偶然知り合いに会うなんて」
とカレー子ちゃん。
彼は今度ベジタリアンの友人をこの店に連れてくるため、「豆カレー」1200円を試食する。4人でワイワイと盛り上がり、池田さんは原稿執筆のためおいとま。
※手前が池田さん、真ん中が堀内さん、右が店主のカレー子ちゃん。
僕も地元に友人を待たせているので帰り支度。
「ゴールデン街のS祭り来ない?」
と堀内さん。Sとはゴールデン街にある老舗飲み屋。そこの名物ママを囲んでのお祭りのこと。毎年浅草「5656会館」で行われる。その誘いなんだけど、予定日はどうも都合が分からず。
「ちょっと検討させてください」
と返答。店を後にした。
「すぱいす暮らし」のメニューは、全体的にちょっと高めな料金設定になっているけど、それは素材を吟味しているからだ。彼女は口に入るものに対して繊細で、その所在、確かな原料を選りすぐる、その妥協していない姿勢の結果だろう。いずれにしても安心していただけるものばかりなので、それはいいことだ。夜は彼女のこしらえる体に優しいスパイス料理各種を楽しみながら、お酒を飲むのが心地よい。
〈店舗データ〉
【住所】東京都目黒区鷹番2-20-14 電話090-3001-6179
【店のフェイスブック】https://www.facebook.com/spicekurashi/
【営業】11時30分~15時 18時~21時
【休日】月・火
【アクセス】東急東横線・副都心線「学芸大学駅」東口から徒歩1分