昔々、常盤台駅南口を降りた向かいのビルの3階に、音楽の貸スタジオがあった。20代の頃バンドをやっていて、ここをよく利用していた。その練習終わりに中華屋の「長栄飯店」、「華月園」などに寄って腹ごなしをしたものだった。その中にこの「香雅」もあった。
最近この界隈を食べ歩いていて「香雅」を随分としばらくぶりに訪れ、その料理の美味しさに改めて驚かされた。
とにかく一品料理は何をいただいても文句なし。特におすすめしたいのが「ラーメン(柳麺)」だ。
具はナルト、メンマ、海苔、たっぷりの刻みネギ、6分1カットの茹で玉子、肩ロースの焼豚とこれで500円とは破格だ。まずスープが旨い、深い旨みとコク、それでいて軽やか。ストレートの細麺は滑らかな喉越しで秀逸。
「メチャメチャ旨いな~」
としみじみとさせられる。
「餃子(鍋貼児)」400円は、抜群の美味しさ。カリっと香ばしく具はシットリで超アツアツ。
下味がほどよく入っていて、タレにつけてもそのままでもいい、久しぶりに旨い餃子に巡り合った。
厨房ではおばちゃん2人がここの料理をすべてこしらえているようだが、作っている気配を感じさせない何気なさ。途中お客さんが入ってきて、
「チャーシュー麺に背脂入れてください」
「えっ! 背脂なんてあるんだ…」
壁に貼ってあるメニューを観察すると「背脂」の文字を確認した。後日訪れて、
「ワンタン麺に背脂入れてください、それと焼売もお願いします」
と注文。ご覧のものがそれ。表面を覆う背脂、一口すするとこれもメチャ旨い。
清らかなスープをいい具合に汚す心地よさ、たっぷりのワンタンもチュルンとして旨いな~、これで650円とは恐れ入る。
焼売はキャベツの千切りとともに小ぶりな焼売が7つ、400円。
懐かしの焼売って感じだが、ちょいつなぎは多いものの豚肉とタマネギの餡は美味しいね。これ辛子醤油とウスターソースを交互につけていただいた。大満足だ。
またある日は「カツカレー」800円。
カリっとクリスピーなカツ、滑らかで旨味の深いカレーと相性ピッタリ。これもメチャ旨だ。
いずれにしてもこの「香雅」只者の中華屋じゃない。当時、なんでこの美味しさに気が付かなかったのだろう。
〈店舗データ〉
【住所】東京板橋区南常磐台2–8–3 電話03-3956-8998
【営業】11時~14時 17時~20時
【休日】月
【アクセス】東武東上線「ときわ台駅」南口から徒歩3分