錦糸町は思い出したように訪れる。昼食を済ませて、南口駅前にある「魚寅」に寄ってマグロブツや旬の魚介を購入して帰るパターンが多い。そんな時に見つけた、平日は夜しかやっていない怪しいカレー屋が気になっていた。
「土日だけ昼やってるんだ…」
ある日連れと訪れた。丸井の裏手にある細かい居酒屋が連なる長屋のような一角。
店内はカウンター5席のみ。棚にはダール(豆)やターメリックなどのスパイスが所狭しと陳列。
どうやら食材の卸しか小売りをしている店のようだ。
メニューは1「スペシャルマトンビリヤニとエッグ&チキンローストカレーのセット」1200円、2「少なめマトンビリヤニとチキンカレー」890円、3「カレーライス(玉子カレーとチキンカレーorマトンカレー)」850円の3種類。
「スペシャルガイイヨ」
40半ばのご主人が畳みかけてくるが、どうやら1、2、3とも同じもののようなので、2と3にした。
「3はマトンでお願いします」
「ウ~ン、キョウマトンナイネ、ビーフ」
「はいじゃそれで」
骨付きマトンのビリヤニの上には玉子カレーにサラダが添えられた代物。一口、
「旨い!」
ジャポニカ米は穏やかなスパイス感、マトンのダシが効いている。玉子カレーもまた旨い、数種のスパイスで煮込まれているようだ。またサラダのドレッシングもいいね。
チキンカレーは何故かウイングと胸肉のぶつ切りの2種類、サービスなのか?
旨味とコラーゲンのグレービーにターメリックとコリアンターなど数種で煮込まれたカレーは、シンプルながら奥深い旨味。仄かに甘いのはジャグリー(黒砂糖)のせいだろうか。
「美味しいですね」
「ソウデスカ」
表の看板にバングラディシュの国旗があったが、一応。
「where are you from?」
「ニホンゴデダイジョウブ。バングラデシュ」
「これ家で食べるカレーですよね」
「ソウデス」
とのことだ。インドと異なり、バングラディシュはムスリムが多いのでビーフカレーはある。
これ骨付きビーフはかかなり濃厚でちょいスパイシー、ライスにかけると実に食が進む。いずれにしても南アジアのカレーに多く出合ってきたけど、ここのカレーの味わいは初めて。
悪戯にスパイスを使わず、素材を生かしたカレーっ感じ、ちょっと驚かされた。
バングラディシュで思い出したけど、神保町にあったバングラディシュ人の居酒屋「櫓」のジーアさんはどうしるんだろう。一度成増の「お風呂の王様」で会ったっきり。日本人の奥さんとダッカに帰ったって聞いたけど、彼がこしらえるベンガル料理が恋しいな。
「ごつそう様でした」
「ハイ1640円デス」
店をあとにして気づいたけど、1740円じゃなかったっけ。まっいいか、また来よう。
〈店舗データ〉
【住所】東京都墨田区江東橋3–9–24 電話03–3634–4522
【営業】19時30分~翌4時 土・日11時~15時30分 19時30分~翌4時
【休日】無休
【アクセス】JR総武線「錦糸町駅」南口から徒歩3分 地下鉄半蔵門線「錦糸町駅」1番出口から徒歩3分