ある日「花家」を訪ねたら見当たらない。
「あれ? どこいったんだろう…」
道を隔てた向かいの店のおばちゃんにたずねると、
「あ~花家さん、いま建て直してるのよ」
よかった。てっきり閉店してしまったのかと思った。
※下は昔の外観
外観は一変してモダンな建物に、一見、小奇麗な中華料理屋風情に変身していた。
※下は昔の店内。
右手に4人テーブルが5卓。昔は左右にテーブル席があったけど、建ぺい率の問題か、横幅が狭まったようなのだ。奥の厨房を見ると3代目のお母さんと、4代目の息子さんの忙しそうな姿。ここは基本甘味屋だけど、名物のジャンボ餃子は外せない。
「ラーメンと餃子ください」
店内はほぼ満席、隣に欧米人の家族連れ、谷根千は彼らに人気がある観光スポットだけど、よくこの店に入ってきたものだ。
暫くするとラーメンの到着。
「あれ? デコレーションが変わったな…」
ホウレン草の代わりにサヤインゲンに姿を変えている。仕入れの問題かな。
スープを一口すすると、若干塩気、旨味が薄く、醤油のエッジも弱い。
麺は昔通り自家製のストレートで滑らか。
餃子は相変わらずのボリュームながら、焼き目が少々萎えている。味わいは昔と変わらずザクっとした野菜多めの食感で下味がしっかり入って実に美味。
ただ、以前の感覚を取り戻していないのか、たまたまこの日は調子が悪かったのか、ラーメンも餃子ももっと美味しいのに。店を建て替えた水などの影響もあるかもしれない。
「ごちそうさまでした。ごぶさたしてます」
「あら、まあどうも」
とお母さん。奥の息子さにも挨拶された。
「いつオープンしたんですか」
「8月の30日なんです。1年間お休みしてたんですよ」
とのことだ。昭和20年創業の老舗の甘味屋。土日祝日は観光客で常に賑わっている。夏場は冷やし中華、冬場はカキ、アサリラーメンも人気。あんみつ、豆かん、スイカジュースも美味しい。タンメンも食べに来なきゃ。
〈店舗データ〉
【住所】東京都荒川区西日暮里3–2–2 電話03–3821–3293
【営業】10時30分~20時
【休日】火曜
【アクセス】JR山手線「日暮里駅」から徒歩2分