銀座での打ち合わせの帰りに、おもちゃのデパート「博品館」に寄った。別に何かを買うつもりはなく、中国人の観光客に混ざって、おもちゃを眺めたあと、エレベーター付近でインド料理屋の看板を目にした。
「あれ、『カーンケバブビリヤニ』ってビリヤニ食わせるインド料理屋か…。こりゃ入るっきゃないな」
ということでさっそくエレベターで6階へ登った。
窓際の特等席に案内され、メニューを眺めれば、ニハリ(ラムのスパイス煮込み)や、カラチ(ラム肉のトマトとスパイス煮込み)、ドーサ(南インドのクレープ)、ビリヤニ(炊き込みご飯)など、この店、パキスタン、パンジャブ、南インドのミックス料理屋のようだ。
「あれ、フィッシュヘッドカレーまであるじゃん」
フィッシュヘッドカレーってシンガポールの名物料理だけど、もともとは南系のインド人が発明したもの。これ食べさせてくれる店って都内に数件しかないんだよね。
「チキンのビリヤニセットとフィッシュヘッドカレーください」
「はい有難うございます。フィッシュヘッド辛くしますか?」
「中辛でお願いします」
最初に登場したのは「ラッサム」(南インドのスープカレー)とサラダ。次にビリヤニの登場となる。
「サービスです」
「えっ、有難うございます」
ってキーマカレーの小皿が出てくる、これも文句なし。
そして「フィッシュヘッドカレー」の登場。
サフランライスの上にあしらわれているのは野菜のポリアル(スパイス蒸し和え)、いや~何もかもが凝っている。サラサラなカレーソースは魚のダシがよく効いていて、実に爽やかな風味で極めてスパイシー。
「おいおい、これメチャメチャうまいぜ!」
久々にレベルの高いインド料理屋に出合った。
「この魚タイですか?」
「そうですね、味どうですか」
「ビックリの美味しさですよ」
スープの中を探っていると「鯛のタイ」つまり、タイのほほ肉の中にある軟骨のようなもの、タイの形をしているので「鯛のタイ」と呼称されていて、まぐれもなくタイのお頭だ。タイの骨を避けながら具をすくって頬張ると、レモンの塊を食ってしまった、「酸っぺ~」これもいいね。
「サービスです」
「またサービスしてくれるんですか?」
で供されたのが「タンドリーチキン」と、付け合せのソースに「グリーンチャトニ」(ミントやコリアンターリーフのペースト)だ。しかし、なんでこんなにサービスしてくれるんだろう? 僕のこと、どこかの芸能人と勘違いしているのか? 他のテーブルを見ても、なにも出されていないのよ。僕と似ている芸能人って、あえて言うなら見栄晴ぐらいなんだけど…。
またこのタンドリーチキンがなめらかなソースで美味しいこと、湯島の「デリー」に昔あった「チキンティッカ」の味わいに似ている。食後の飲み物が付いて2800円程度、これ絶対お値打ちですよ。ここのメニュー全部制覇するつもり。