元祖 カレー研究家 小野員裕

神田須田町「トプカ」インド風カレーライス

トプカ2

カレー屋の激戦区、神田、御茶ノ水界隈にこの「トプカ」が開店したのは20数年になるだろか。神田須田町老舗のそばや「松屋」で、いつもカレー丼を食い続けていたのだが、ある日「松屋」の横に突如出現した。

どうせたいしたことはないだろうと、何気なく店に入って「ムルギカリー(チキン)」を食べたとき、その旨さに驚いた。ラグビーボール状にかたどられたライスの横に、サラサラなスープ状のソース。鶏肉、ジャガイモなど具がロンと転がった代物で、強烈な辛さ、そして食べ終わったあとにしっかりと塩気を感じるという味わいだった。サラサラなソースにも関わらず充実した旨味、辛味のレッドペッパーはかなり効いているものの、その他のスパイスはどれも突出することなく、バランスがとてもいい。当時その日から週一で通い、すべてのメニューをローテーションする日々を過ごしていた。

特にお勧めは「キマカリー」(ひき肉のカレー)。これもメチャクチャ旨い。ご飯の上にまろやかなダルカレー(レンズマメのカレー)、その上に十数種類のパウダースパイスとコリアンダー、カルダモンのホールスパイスで香りづけされた、牛と鶏肉の合挽きをウェットタイプに仕上げた辛口ドライカレーだ。

デコレーションも美しく、スパイスの鋭利な芳香に鼻孔をくすぐられ、一口頬張れば、力強さと優しさが同居したそのコンビネーションの味わいに誰もが虜にさせられるだろう。

夜は串焼きや焼き鳥、刺身などを揃えた居酒屋に姿を変え、界隈のサラリーマンで賑わっている。