だいぶ前に、東京スカイツリーの「ソラマチ」に野暮用があり、用事を済ませて界隈をプラプラ。ほぼ夜しか来たことがなく、業平の居酒屋「大黒屋」や「松竹」に通っていたけど、いずれも閉店してしまっている。
この日、向島界隈で見つけたのが、なんとも味わいのある食堂。店内は雑然としていて、ご隠居が抹茶ハイを飲みながらくつろいでいる。
「いい雰囲気だな…」
思い付きのように張り付けてあるメニューは、酒のつまみばかり。その中でご飯ものはカレーライス1種類のみ。それも300円とビックリ価格。なぜかカレールー400円が解せないのだ。
「すいません、カレーライスとシュウマイ下さい」
「今日シュウマイないんだよね。餃子ならあるよ」
と70半ばの飄々とした風情のご主人。
「じゃそれで」
メニューをよく見ると宇都宮餃子とある。これはひょっとして市販のチルドか?
カレーライスはマッシュルームのようなキノコとか野菜がゴロゴロと具だくさん。結構な辛口で、鮮明な味付けでなんだか美味しいね。
写真撮り忘れたけど、餃子はまさに宇都宮餃子のチルドだった。
ここで酒を飲むのもいいな。テレビで遠山の金さんを鑑賞しながら、ご隠居とご主人がゆったりとくつろいでいる。よく見ると初代の中村梅之助の番組だ。
「これ初代の中村梅之助でね。ここに出てる人みんな死んじゃってますよね」
「ははは、そうだな」
「こんなのまだやってるんですね」
「時代劇専門チャンネルってのがあるんだよ」
なんだかここの空間だけ時間が止まっているような。酒を飲みに行こう行こうと思って、もう5か月も経ってしまっている。
〈店舗データ〉
【住所】東京都墨田区向島3–45–1 電話03–3622–6865
【営業】深夜2時30分~12時 16時~18時
【休日】無休
【アクセス】地下鉄半蔵門線「押上駅」から5分 東武鉄道伊勢崎線「とうきょうスカイツリー駅」から徒歩3分