町外れにひっそりと佇む「栄楽」。前回、ラーメン各種、炒め物、餃子、どれもスキのない美味しさだと、前にこのブログ紹介した。そこにメールを寄せてくれた方から、
「カツライスも秀逸」
とのお知らせがあった。
「へ~、知らなかった」
よっぽどのことがない限り、多くの人は、中華料理屋でトンカツは注文しないもの。
いつものように、近所のディスカウントショップ「オリンピック」に寄った帰りにまた訪れた。
ご主人に、
「なんかここに来るお客さんだと思うんですけど、カツライスが美味しいって」
「たぶんあの人だな、いつもカツライスばかりだから、他の物も美味しいよって勧めてるんだけど。実はね、自慢なのよ。食べてみる」
「ええ、ぜひ食べたいです」
綺麗なロースの塊を見せてくれる。
「これいい肉でしょう。脂身の入り方がちょっと違ってね」
牛刀で一枚切り出すと、丁寧に隠し包丁。塩、胡椒を軽く振り、小麦粉、玉子、そして生のパン粉は、楊枝のような大きな形状。
「これ自家製でね、食パンの耳は落としてかなり粗めに作ってるのよ」
低温の油でじっくりと揚げる。皿に、キャベツ、油落とし用の網まで用意している。トンカツ屋じゃないのにビックリ。その上に分厚いカツをデコレート。凄い。中華屋なのにここまでするのかと感心させられた。
ご覧ものがそれ。
※カツライス900円
一口、
「超旨い!」
この手のとんかつはあまり出会ったことがない。分厚いカツはしっかりと火が入り、サックサクの衣、脂身がジュワ~、軽やかで美味しいのだ。これ下手なとんかつ屋も脱帽の仕上がり。最近は牛肉よろしく、レアな火入れ加減が多いけど、豚肉の場合は熱が入っている方が肉の旨味を感じる。
「カレーもね、他とは違うのよ」
※自家製のラッキョまで、すごいね。
とサービスでカレーの小皿を提供してくれた。これも旨い。いわゆる片栗粉でトロミをいれたもので、独特な味わい。
「この店始めたとき、まわりからすぐに潰れるなんて言われて、頑張ったのよ。40年前当時、麻婆茄子をメニューに入れて、こが好評でね」
ご主人は四川料理屋で修行していたとか。40年前に麻婆茄子は巷で見かけることなかったし、真新しいメニューだったに違いない。
※ボクはまだ食べてないけど、友人から提供してもらった麻婆茄子の写真。いま流行りの味付けとは違い、優しい家庭的な味わいとか、穏やかに美味しくてご飯がすすむそうだ。
いずれにしてもこれだけクオリティーの高いメニューを提供する町の中華屋は滅多にない。
【住所】東京都板橋区坂下1–29–17 電話03–3960–6280
【営業】11時~21時
【休日】日・祝
【アクセス】都営地下鉄三田線「志村三丁目駅」から徒歩8分