元祖 カレー研究家 小野員裕

三軒茶屋「とんがらし」愛情たっぷり、お母さんのインドカレー

IMG_7264

※リニューアルする前の店の外観です。

東急田園都市線「三軒茶屋駅」から246沿いを渋谷方向へちょいと戻ると右手角に「とんがらし」が現れる。

「キーマスペシャル」は、合挽き肉と焙煎玉ねぎをベースに各種スパイスで仕上げられたインド風のカレーだ。そのサラサラなソースは軽い酸味、適度な辛味、深い旨味に彩られ、固めに炊きあげられたサフランライスと相性がピッタリ。スタンド風情のカレー屋とあなどってはいけない、これは相当手の込んだカレーだね。

「うちのカレーはね、それぞれのソースが違うんですよ。もう手間がかかっちゃって、そうねー、出来上がるまでにだいたい10時間ぐらいかかっているかしら……」

と店主、気の優しいお母さん石川輝代子さん。こぢんまりとした店内はカウンター9席、彼女一人で店を切り盛りしている。(現在は息子さんも手伝っている)

店の一番人気は「豚ばらスペシャル」だ。トロトロの豚バラ肉とほうれん草が溶け込んだその味わいは、たっぷりと旨味が効き、塩気、スパイスなどバランスよく仕上がった逸品。想像だけど、すべてのカレーは恐らく、長時間玉ねぎを焙煎した後に、ターメリック、クミン、コリアンター、トマトなどを合わせたものがベースになり、素材によってその他のスパイスを使い分けているのではないだろうか? 近所にあったら週一で通ってしまう、そんなクセになる味わいが潜んでいる。

食後に「愛玉子(オーギョウチ・台湾の寒天菓子)」がサービスでつくのがありがたい。これは愛玉と呼ばれる種から絞った寒天菓子のようなもので、プルプルとした食感にレモンシロップが爽やかで、カレーのデザートには最適だ。また大盛り無料だけど、その量が半端じゃない。普通盛りの2倍はあるので心得ておこう。

また、体よさ気なメニューとして「薬膳カレー」があり、豆腐、カシューナッツ、ほうれん草、豆乳でなどでこしらえたカレーもある。

三軒茶屋散策の合間にぜひ訪ねてもらいたい。「とんがらし」のお母さんには、いつまでも元気にカレーを作っていてもらいたい。