元祖 カレー研究家 小野員裕

渋谷「葱や平吉」ネギ料理を堪能

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渋谷センター街をNHK方面へ進み、東急ハンズを超えてすぐ左折。10メートル行った左手に「葱や平吉」の玄関へつながる石畳のアプローチが現れる。

喧噪の渋谷とは打って変わって、静かな空気に包まれたアプローチを抜けて扉を開けると、店内へつながる土間には炉が切ってあり、どこか田舎の古民家を訪れたような錯覚に陥る。

1階左手に大きなカウンターテーブルが現れ、そこに裏返した釜の蓋を大皿代わりにして、「ごぼうの素揚げ」、「春菊のおひたし」など13品のおばんざいが月替わりでずらーっと並ぶ憎い演出。どれも手頃な価格で提供されている。

 

店名の通り、ネギにこだわった店で、名物は「黒焼き」。ネギを炭火で炙り表面を真黒に焦がしたものなのだが、この焦げを取り除くと、中からホクホク熱々の白いネギが現れる。いただくとその自然な甘味が実に心地よいのだ。

深谷葱、下仁田葱、軟白葱、呉崎葱、赤葱、玉葱と六種類品揃えされているが、季節によって品薄になるものもある。

その他お勧めは「九条葱のおひたし」や「葱の天ぷら」など。冬場やちょいとした会合ならば、「鶏鍋」がいいだろう。鰹、昆布ベースのスープに、つくね、鶏もも肉、白菜、豆腐にたっぷりの千住葱。沸々と煮えてきたら、葱、ショウガ、白絞油でブレンドされたつけダレでいただこう、これが旨いのだ。

またランチもやっているので、会合、酒宴を考えている人は、一度訪ねて中の様子を伺えば納得してもらえるはず。1階カウンターの後ろに広がる中庭に、時々のら猫が現れて、そのたわむれる姿を見ながらランチをいただくのも心安らぐ。2階は座敷小あがりが9卓44名ほどである。

渋谷の喧騒にあって、落ち着ける大人の空間。ぜひ利用してもらいたい。