東武東上線の「大山駅」に住んでいた頃、店名は忘れたが、旨い料理屋があった。2、3回ほどお邪魔しただろうか。その後、ボクは新宿に引越しをしてしまい、ふと思い出して大山を訪ねたら、その店がなくなっていた。 それから数年して友人が、
「東武練馬の『棟梁』っていう居酒屋が、ずいぶん賑わっているみたいだぜ」
「東武練馬? そんな店あったっけ?」
ということで確かめるべく、友人と連れ立って「棟梁」を訪ねたら、なんと、大山にあった店だった。もう10数年前のこと。
全ての料理が秀逸で、特に「刺身くじらステーキ」(当時は鯨ステーキと読んでいた)1800円を食べたら、その美味しさに驚かされた。
ここで提供される鯨は、 長い付き合いのある築地の「伊藤食品」から仕入れているそうだ。
「今の若い人は鯨を食べたことがないですからね、うちで初めて食べる鯨が印象を決めてしまうから、だから気合を入れてますよ」
とご主人。その作り方を伺えば。まず、熱した油に鷹の爪の香りを移し、塩胡椒した鯨を強火で一気に焼く。いったん肉を取り出し、たっぷりのニンニクに醤油を加えロースト、薄切りにした鯨のステーキの上にかけて完成だ。
その取材からしばらくご無沙汰していた。何年かぶりに「棟梁」を訪れたら相変わらずの賑わいぶり。店内右手にあった小上がりがなくなり、テーブル席に姿を変えていた。
今回「刺身くじらステーキ」は頂かなかったが、一通り注文したものを紹介しよう。「特上くじら赤身刺し」1200円はねっとりとした舌触りで旨味たっぷりで新鮮そのもの。
※コレ食べかけでゴメン。
「あじのたたき」850円、
「なまこ酢」650円、
「三陸産穴子の白焼き」780円、
「えびのタルタル焼き」820円、
「おこぜの唐揚げ」870円、
「自家製カニクリームコロッケ」940円、
「はまぐりバター」890円、
「生キスの天ぷら」890円、
「天然いわなの骨酒」870円、
「牛テールうどん」780円など。
メニューもけっこう増えたような。料理も酒も工夫されていて、どれをいただいても乙で秀逸な味わいだ。
ご夫婦2人で切り盛りし、煮付けなど注文が入ってから仕込むので、ゆっくり飲みながら気長に待ってもらいたい。週末は大賑わいなので、予約してからの来店が無難だろう。
〈店舗データ〉
【住所】東京都練馬区北町2–19–9 電話03–3934–3566
【営業】17時30分~23時30分
【休日】月
【アクセス】東武東上線「東武練馬駅」南口から徒歩3分