元祖 カレー研究家 小野員裕

北千住「天七」華のある立ち飲み串揚げ居酒屋

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北千住西口駅前から左手のディープな飲み屋街の入口に右手に、串揚げ立ち飲みの「天七」がある。

午後4時の開店と同時に30数人収容できる大きなコの字型のカウンターは隅から埋まって行き、あっと言う間に満杯の有様。混雑時には体を斜めにしなければ酒が飲めないほどの状態になる。

ここはとにかく目でも耳でも楽しませてくれる。職人のフライを揚げる手さばきや、ガヤガヤと混雑した客の笑顔が店の雰囲気を盛り上げる。

注文が入ると厨房の真ん中で、バッター液に具をくぐらせ、細かいパン粉をまぶして油の中へ投入。そして揚がったフライをステンレスの壁に叩きつけて、油を切る光景が面白い。またなぜか揚げ物担当の職人はパン粉を掴んでは、まるで天ぷらの花を散らすように油の中へ投げ入れる。不思議に思って店員にたずねると、

「パン粉にダマができるので、それをすくって油に放り込んでいるんですよ」

「へ~、そうなんだ」

油が汚れはしないかと思うけど、これが香ばしいアクセントになる。ちょっと前に高田馬場にあったザンギ(北海道の唐揚げ)専門店のマミちゃんが、

「澄んだ油で鶏を揚げると美味しくないのよ」

といっていたのを思い出す。ようは油をわざと汚しているのだ。

まずは生を一杯。そして串揚げの出番を待つ。お勧めは若鶏、レンコン、豚かつ、など。秘伝のソースに浸してかぶりつけば油は軽やかでサクっとシットリとしてキレがいい、衣に包まれた身はホクホクでジューシーだ。ほろ酔いで小腹が満たされたら終了。立ち飲み屋では長居は禁物、次の店の前段階の店として心得ておこう。