元祖 カレー研究家 小野員裕

「蒙古タンメン中本」の前身、旧「中本」時代の元祖「印度ラーメン」を作ってみた。

現在の「蒙古タンメン中本」の前身、旧「中本」時代、いまから30年数年前だけど、先代の中本正さんがボクに「印度ラーメン」を作ってくれたことがあった。

と、このブログでもかつて書いている。以下も同文だ。

メニューに「印度ラーメン」とあったけど、食べている客を見たことがなかった。後に一度だけ、城北高校の学生が一人食べているのを目撃してから気になって仕方がなくなった。それからだった。

「印度ラーメンお願いします」

「今日は出来ないのよゴメンネ」

またある日、

「印度ラーメンお願いします」

「今日は出来ないのよゴメンネ」

この繰り返しが数年続いたある日、

「じゃ今週の土曜日の昼に来て、作ってあげるから」

ボクの執拗な頼みに中本さんが折れて約束してくれた。いただいたのは塩スープに豚肉にキャベツ、玉ねぎなどをカレー粉で炒め、片栗で〆た餡が乗った代物だった。シンプルながら底力のある味わい、キリっとエッジの効いたスパイシーな餡が麺によく絡んで美味しかった。

後に「中本」は閉店し「蒙古タンメン中本」として復活。ほどなくして新宿店ができた頃、中本さんから、

「印度ラーメンのレシピ忘れちゃったのよ、どんなんだったっけ?」

どうやら新宿店でメニューに加えるということだった。印度ラーメンの味を知っているのは、おそらくボクだけで、現社長を含め従業員も食べたことがなく、確かその作り方を教えた記憶があるけど、なぜか味付けは醤油、味噌、北極の3種類に変わっていた。

高校生の頃からカウンターにかじりついて、中本さんが作る料理をずっと観察して、色々なメニューの作り方を頭に叩き込んでいる。「印度ラーメン」は、実際は塩味で、昔の記憶を頼りに作ったのがご覧のもの。デフォルトでは茹で玉子の輪切りは付かないけど、たまたまあったので彩として添えてみた。

麺は「蒙古タンメン中本」で使われている「サッポロ製麺」に似たような太麺、マルちゃんの「山岸一雄監修のつけ麺専用中華麺」を購入。袋の表示にはつけ麺の場合5分とあるけど、実際はラーメンの場合6分、つけ麺の場合は7分が最適な茹で加減だと思う。

塩スープにはラードや乾燥ニンニクで風味付け、カレー餡にも乾燥ニンニクが使われている。そしてゴマ油でアクセント。といった感じ。

いずれもラード、乾燥ニンニクを使っているので、サッパリしているがほどよくパンチがある。熱々でカレーの辛味と相まって汗が噴き出す代物、ズルズルと頬張れば、生前の中本正さんの面影が蘇る。