元祖 カレー研究家 小野員裕

高田馬場「玲音」卵カレーごはん意外にも裏メニューあり。

高田馬場に近い北新宿、百人町、小滝橋界隈を徘徊していて、ショットバー風の中華料理屋「玲音」が目に留まったのは7年ほど前のこと。最初に食べたのが「塩ラーメン」と「餃子」だった。

餃子はビックリするほどの羽根突き、一口噛みしめるとサクッとほどよくジューシーな餡、よくできていた。何気に厨房を覗くと大きな寸胴でしっかりスープを引いている。そしてラーメンのスープをすすると、余計な調味料が使われていない純粋な清湯だ。たぶん化学調味料を極力抑えているか、まったく入っていないのだろう。麺はやや縮れの細麺、茹で加減がちょうど。ラーメン専門店じゃないので、スープの旨味は軽め、それは他の料理に影響するからだ。仕事が丁寧で感じもすごくいい。

高田馬場にある酒場で常連の客が、

「たまに行きますよ、あそこは美味しいですね、たしか『一番飯店』で働いていたって聞きましたよ」と教えてくれた。

「一番飯店」とは漫画家、故手塚治虫さんもよく通っていた馬場の人気中華屋だ。そして「玲音」を再訪して、メニューを眺めると「噂のたまごカレーごはん」というメニューが目に留まった。

「たまごカレーごはんってどんなものですか?」

主人が厨房から出てきて、僕に雑誌を見せてくれた。あれ、カレー特集じゃないか、先にやられた。しばらくして供されたのがご覧のカレー。まるで大阪なんば「自由軒」の「インデアンカレー」をホウフツとさせる。一口いただくとこれが旨い。仄かな甘みとほどよい辛味、さらりとした口当たりで、カレーリゾットといった風情。

生卵をほぐしてまた一口、円やかにコーティングされてこれもいい。具は玉ねぎとわずかな豚肉といたってシンプルさ、いいアイデアだ。

その後カレーのメニューが増えた。と言うよりは裏メニューのオムカレーだ。白いご飯を玉子で包み、その回りに黄金色のカレーソースをあしらった絵姿は食欲がそそられる。

カレーは旨味充実ながら丸みのある軽やかな舌触り。玉子、白いご飯ともに味わうとまたこれが旨い。

その他カレーラーメンなど、出来る限リクエストに対応してくれる柔軟さ。

前に寄る飲みに来た時、メニューになかった揚げワンタンを出してくれたことがあったな。

〈店舗データ〉

【住所】東京都新宿区高田馬場4-34-14 03-3227-2080

【営業】11時~14時 17時~23時

【休日】日・祝

【アクセス】JR山手線「高田馬場駅」戸山口から徒歩9分。
JR・東西線・西武新宿線「高田馬場駅」早稲田口から徒歩15分