「駅からちょっと離れてるんだけど、メチャ美味しい勝浦タンタン麺があるのよ。けっこう辛いけどいいわよ」
と荻窪の小洒落た居酒屋「瓜坊」のママからの情報だった。勝浦タンタン麺といえば、元祖「江ざわ」や「はらだ」を思い出す、これメチャ美味かったのよ。
「あ~食いて~」
数日後、荻窪駅北口から青梅街道を吉祥寺方面へ。環八、四面道の交差点を渡って右折、200mほど先の左手に「ビンギリ」が現れる。行列7人ほどだった。
待つこと20分。入口右手の券売機で「勝浦タンタン麺」850円+味玉100円を購入。
店内は左手にカウンター5席、2人席テーブル1卓の狭小スペース。フロアーのオバちゃんに食券を渡し、
「ライスお願いします」
ライスは無料、ありがたい。
店主は顔が濃い、旨いもんを作りそうな顔立ち、ちょい頑固な風情。丼に醤油の元ダレを入れ、麺茹器の上で温める。雪平鍋にスープ、サラダ油、真っ赤な挽肉と唐辛子で出来た餡をタップリ、そこに玉ネギをわんさか入れて煮る。丼にそのスープを注ぎ、麺を入れ、ほどよく麺を揃え、ニラと青ネギをドサっと入れ、その上に粗目の花椒を振りかけて出来上がり。
「いや~見るからに辛そう、でも美味しそうだな…」
表面を覆う真っ赤な油、スープを一口。
「旨め~!」
ややウェーブのかかった中細麺はちょい硬質で、深い旨味のスープがよく絡みつく。
券売機には激辛って書いてあったけど、見かけほど辛くなく、「蒙古タンメン中本」に例えるなら、蒙古タンメンと味噌卵麺の中間の辛さ、カレーならデリーのインドカレーといった感じで、薄っすらと額から汗が滲むていど。また花椒のシビレ感が丁度よく、ザク切りの玉ネギの食感、その甘味など非常にバランスがいい。
具は挽肉がたっぷりで、途中ライスにかけていただくとまた旨い。
勝浦の「江ざわ」、「はらだ」も美味しいけど、これもスゲ~旨い。病みつきにさせられる美味しさ。
まだまだ世の中は広い、美味しいものに出合うと気分が高揚する。券売機にあった「ビンギリラーメン」、「こだわり担々麺」、「汁なし担々麺」も食いて~。何人かで来て分け合うか。
〈店舗データ〉
【住所】東京都杉並区桃井1–12–16 電話03–3390–9645
【営業】12時~14時30分
【休日】日・第1月曜日
【アクセス】JR中央線・地下鉄丸ノ内線「荻窪駅」北口から徒歩10分