習志野「必勝軒」ご主人の独り語りを聞きながら、つけ麺を久しぶりに食す。


習志野に降り立つのは10数年ぶり。目的は「必勝軒」だ。開店当初はよく訪れていたけど、すっかり微無沙汰してしまっている。

「こんな外観だったかな…」

ほぼ記憶にない。ビニールシートの中は控え室。そこからさらに扉を開ける。

「おはようございます」

と店主。慌てて。

「はい、おはようございます」

「今日はお寒い中お越しいただいてありがとうございます。券売機の上に注意書きがございますので、それを読んでから券を購入ください」

こんなシステムだったか。パっと見、メニューを見ても今ひとつわからない。客が後ろにいないので、しっかり確かめると月、火が「バランスラーメン・つけめん」。水が「とりぶたのうこうラーメン・つけめん」。木が「のうこうぎょかいラーメン・つけめん」。金が「ぎょかいきょうちょうラーメン・つけめん」。土・祝が「オールマイティーラーメン・つけめん」となっている。これ漢字で書いてくれたらすぐ分かるんだけどな~。

本日は金曜日なので「ぎょかいきょうちょうつけめん」。を購入。おそらく漢字で書けば「魚介強調つけ麺」なのだろう。

「裏メニューはお座りになる前にお申し付けください」

そもそも裏メニューが何なのかサッパリわからない。この原稿を書いていて券売機の写真を見てわかったが、裏メニューは味玉だ。なんで味玉が裏メニューなのか?

L字のカウンター13席。先客が2人いた。

「どうぞ奥から順番にお詰めください」

しばらくすると。客が1人。すると。

「今日はお寒い中お越しいただいてありがとうございます。券売機の上に注意書きがございますので、それを読んでから券を購入ください」

と同じセリフを繰り返す。またしばらくすると。

「金曜日は学生さんのお客さんで行列が出来ますが、回転が早いのでさほど待ちません。ですが土曜祝日はお子さんの家族連れが多く、1時間ほど待つことになりますので、今度お越しの際はご留意ください」

と、なにかと店主は独り語りを続ける。

「ああ、この語り昔から変わってないな…」

にわかに思い出す。この人のクセなのだ。

「はい、お待ちどう様です」

中ぐらいに乳化したやや茶色いスープを一口味わう。

「美味しいな」

魚介強調とあるが、非常にバランスのとれた味わいだ。中細のややウエーブ麺を浸してズルズル。

奥に製麺機があり自家製麺。これもっと倍ぐらいのストロークがあったら食べやすい。特につけ麺に関しては。小麦の密度がやや希薄でちょい力強さに欠けるような気もする。

「今日はお寒い中お越しいただいてありがとうございます。券売機の上に注意書きがございますので、それを読んでから券を購入ください」

まただ。

「券売機にお客さんがいるときは、後ろに並ばずに、控え室でお待ちください。なぜならば、お客さんからクレームがありまして、券を買っているとき後ろに並ばれると、焦って間違ったメニューボタンを押してしまうとのことです。ご了承ください」

後ろに並んだご隠居が慌てて控室に戻る。言われてみれば、初めて入った店で何にしようか迷っている時に、後ろに客がいると焦ってしまうもの。まっ、いいか。

どのラーメンも麺は2玉のようだけど、さほどの量じゃない。食べた感じだと260gってとこだろうか。美味しかった。

主人の独り語りは暫くすると微笑ましくなってくる。たぶん彼のリズムなんだと思う。

〈店舗データ〉

【住所】千葉県習志野市津田沼2-5-9

【営業】月 19時~21時30分 火木土祝11時〜14時20分 水金11時30分~14時20分 19時~21時20分

【休日】日

【アクセス】JR中央・総武線 「津田沼駅」南口から徒歩5分 新京成電鉄線 「新津田沼駅」から徒歩7分 京成本線 「京成津田沼駅」北口から徒歩8分


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