目白「さんかく」のエッジの効いた醤油ラーメン&ワンタン麺


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JR山手線「目白駅」の改札を出て左手、交番脇の狭い階段を下ると三叉路、その真ん中の勾配を10メートルほど上ると、住宅街にぽつんと佇む小料理屋風情の「さんかく」が姿を見せる。ここは紛れもなくラーメン専門店だ。

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ご夫婦で切り盛りしている店内は、L字型のカウンター9席、4人席1卓。内装は木調の色合いに統一され、アンティークな水屋や薪ストーブ、赤電話、大型ラジオなどの調度品が静かにデコレートされている。

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昨今、トリプルスープ懲りすぎているラーメン専門店が闊歩するなか、シンプルに醤油味のキリっとエッジの効いたラーメン屋はないものかと悩んでいる最中、ここのラーメンに出合った。そのラーメンを味わった時、

「あーこれこれ、余計な小細工がされていないラーメンらしいラーメンだな……」

と感慨に耽ってしまった。

スープは豚骨2種、鶏2種、ほんの僅かな魚介の干物に香味野菜。それを寸胴で沸騰させずに旨味を抽出させた中華料理で言う清湯スープ。

中太平打ち手揉み麺のツルンとモチモチとした喉越し、嫌味な味付けがされていない、ほどよく脂のまわった肩ロースの焼豚、余計な味がついていない歯ごたえのメンマ、長ネギ、色鮮やかな万能ネギと潔い絵姿だ。

その深いスープの旨味、具のバランスはお見事、実に旨い、丁寧な仕込みがうかがえる。

この「さんかく」は元々新宿大ガード脇の「思い出横丁」、通称「しょんべん横丁」に戦後間もなくからあった店だ。記憶に残っていると思うが、10数年前にこの一帯が大火事になり、その被害をこうむり焼け出されてしまった。

ご主人の菅原仁氏は父のもとで若いころから修業を積んでいたそうだ。

「あの火事から、親父は体を壊してしまってラーメン屋を再びやろうとは思っていなかったんです。でも焼け跡に馴染みのお客さんがメッセージを残していってくれることが度重なって、こんなに応援してくれるんだったら、それじゃ俺がやるしかないかなって感じで、昔のお客さんにお礼をしようと奮起したんですよ。味をもっと進化させるために方々のラーメン屋を訪ねて研究しましてね、でやっとここに再開させたんです」

とそんな苦労の末に完成したラーメン、昔の馴染み客に恩返しが叶ったのだ。

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店を再開させるにあたり、なにか目玉商品を作らなければと、思いついたのが「ワンタン」だそうだ、これが肉の旨味が凝縮された味わいながらサッパリとして実に旨い。

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また「餃子」もカリっとモチモチの皮の食感、野菜と肉のバランスが丁度いい逸品だ。キリっとエッジの効いた深い旨味の醤油ラーメン、旨いんだな、これが。


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