本郷3丁目「ルオー」喫茶店のセイロン風カレー、忘れたころに無性に食べたくなる味わい。


カレーの食べ歩きを始めるに当たり、欠かせない基本の店といってもいいだろう。

この店は昭和27年に東大赤門前で息づいていたらしいけど、当時のことは知らない。一時期閉店となるが、ここで20年ほど働いていた方が、昭和54年に東大正門前で再開させ現在に至っている。

『されど我らが日々』で芥川賞を受賞した小説家、柴田翔。彼の小説、学生運動の狭間の中で揺れ動く若者の苦悩を描いた恋愛小説『贈る言葉』の舞台になった喫茶店でもある。

店内は漆喰の壁、古めかしい木彫のテーブルなど味わいがある。

「セイロンカレー風カレーライス」(セミコーヒーつき)980円。

カレーは洋食風のスタイルで、具は大きなジャガイモとゴロンとした豚肉。味わいは所謂ルーベースで、確かカレー粉はイギリスのC&Bだったはず。嫌味な甘さは一切なく、ほどよい旨味、潔い味わいで何気なく美味しい。ふとした時にまた食べたくなる味わいが潜んでいる逸品だ。

これがなぜセイロン風、つまり今のスリランカ風なのか。かつてセイロンはイギリス領で、インドを含めたカレー料理はイギリスにもたらされ、イギリス風にアレンジされ、それが明治初期に日本に伝わった。おそらくアングロインディアンが作った「バターマサラ」のように、ある地域のカレー、つまり「イギリス式のセイロンカレー」として日本に伝わったんじゃないかな。

今ではスリランカカレーは現地本式のスタイルが一般的だけど、日本のカレーの歴史の変遷を垣間見ることができるカレーと言ってもいいだろう。

〈店舗データ〉

【住所】東京都文京区本郷6-1-14 電話03-3811-1808
【休日】9時30分~20時 土9時30分~17時
【休日】日・祝

【アクセス】地下鉄丸ノ内線「本郷三丁目駅」から徒歩4分


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