経堂にある「ガラムマサラ」の「ブラックペッパーマトンカレー」が恋しくて意気込んで行ったら、なんと休み。
「しまった、今日休日なの忘れてた…」
仕方なく界隈を徘徊。
経堂は学生時代過ごした街で、北口「すずらん通り」の奥に後輩が住んでいた。彼の部屋の隣に妖艶な女が住んでいて、仲良くなってよく飲みに行った。なぜか近所にいた某テレビ局のディレクターがいつも一緒、あれって不思議に思っていたら、実はそのディレクターが彼女を囲っていたのだ。そんなある日、後輩とその彼女が出来てしまい夜逃げ、大学も中退、それっきりどうしたかわからない。昔通った居酒屋もすでになくなっている。
南口から「農大通り」をプラプラ、相変わらずこの商店街は活気がある。烏山緑道の交差点右手に気になる店が、まだ開店準備中。表のメニューを見ると、タンメン、サンマーメンの専門店のようだ。
「へ~これ面白いな、待ってみるか」
表の椅子に腰かけて開店を待つ。
「どうぞ、お入りください」
と気のいい女性。奥に30ちょいのご主人、どうやらご夫婦のようだ。非常に気の利く接客で気持ちいい。L字のカウンター7席のスペース。
「タンメン、サンマーメン、う~んどうしよう。やっぱサンマーメンですよね」
とご主人に訴えると、
「ですね」
とさわやかな返事。
「あっ、ワンタンあるんですね、じゃそれも一緒で」
暫くすると満席。流行ってるんだな。
厨房でジャージャーと野菜を炒める音と煙、しばらくすると奥さんがなみなみつがれた丼を運んでくる。熱くないか、と心配してしまう。
丼にギリギリのスープと具、いや~見るからに食欲がそそられる。スープを一口、
「旨い!」
サンマーメンはアッサリした味わいのものが多いけど、これはパンチがある。
ストレートの中太麺を持ち上げてズルズル。滑らかな舌触りこの麺もいいね。とカウンターを見ると開化楼の文字が、なるほど、やっぱ開化楼はいい麺をこしらえるな。
具は小さめな焼豚、半身の味玉、モヤシ、ニラ、キャベツ、青梗菜など。ほどよい甘めの餡、嫌味がなくて実に美味。バランスがいい。
また餡のしっかり入ったワンタンも旨い。中華料理屋にありがちな、餡かけ麺に似ているけど、それとは一線を画する味わい。タンメンもスタミナ麺も気になる。
「ごちそうさまでした、美味しかったです」
「またいらしてくださいね」
「ガラムマサラ」が休日であったことに感謝する。じゃなきゃこの店に巡り合えなかった。
〈店舗データ〉
【住所】東京都世田谷区経堂5–29–21フジビル1階
【営業】11時30分~15時 17時~20時
【休日】日
【アクセス】小田急線「経堂駅」南口から徒歩5分