「昔は普通の中華屋だったんだけど、知らないあいだにラーメン専門店になった店があって、醤油も塩も旨いのよ。小野ちゃんに食べてもらいたいなって思ってさ」
と、用賀に住む友人からの情報。すっかり忘れていたんだけど、早朝、二子玉川で野暮用をすませた帰り。
「用賀に旨いラーメンがあるって言ってたな…」
さっそく友人に連絡を入れて店を教えてもらい、訪れたのだ。
まだ開店前で中の様子を見ると、どう見ても極ありふれた中華屋といった感じ。
「もうすぐお湯が湧きますから、中に入ってまってて」
と気の優しいおばちゃん。店内はL字のカウンター10席に、4人席のテーブルが1卓。
入口右手に券売機があり、友人が「最初に塩を食え」と言ってたので「塩ワンタン麺」700円+「ラージャー玉」100円を購入した。
暫くするとあっという間に満員御礼。女性客が多いのだ。
最初に「ラージャー玉」が登場、唐辛子に豚のひき肉が合わさったもので、ほんの僅かな甘味とけっこうな辛味と塩気、これご飯にかけて食べたい。
「はいどうぞ」
おお、これは美しい絵姿のラーメン。青ネギ、メンマ、焼豚、ワンタン。限りなく澄んだスープに黄色いストレートの細麺。スープは軽やかながら深い旨み。
「美味しいな~」
滑らかな麺がまた旨い。バラの焼豚は下味がしっかり入りトロトロの舌触り。メンマは余計な味付けがされていなく、スープを汚さない。
ワンタンは6個かな、あるていど肉の餡が詰まっていていいね。
途中ラージャー玉を入れて味変、ピリッと辛口になってこれもまた旨い。
ガバンの中からピローケースを出していると、
「お水ある?」
とおばちゃんが話しかけてくる。
「薬飲もうと思って」
「アタシも毎日薬飲んでいるんだけど、よく忘れちゃうのよ」
「そうなんですよね。昼飯食べた後って決めてから忘れることなくなりましたよ」
「アタシもそうするわ」
「ごちそうさまでした」
「またいらしてください」
まあとにかく感じのいい店だ。次は醤油ラーメンだな、また来よっと。友人に報告しなきゃ。
〈店舗データ〉
【住所】東京都世田谷区用賀4–30–1 電話 03–3700–7335
【営業】11時30分~14時
【休日】月・金
【アクセス】東急田園都市線「用賀駅」北口から徒歩3分