早稲田「浅野屋」カレーライス


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昨年末、飯田橋の歯医者で治療を終えて、自宅まで歩いて帰ることにした。

神楽坂通りから早稲田通りに入り、弁天町の交差点で「としおか」(高田馬場にあった今は亡き名店、べんてんで12年働いた唯一のお弟子さんの店)に差し掛かったが、すでに30人ほどの行列、あきらめてひたすら闊歩。早稲田通りから穴八幡神社の交差点を右手に折れて、早稲田大学文学部の校舎から大隅通り商店街に入る。かつてこの界隈に僕の事務所があったので、ただ漠然とそこを確かめようと考えていたら、昔よく通っていた「浅野屋」という蕎麦屋が現れた。

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「あっ、そうだ、ここのカレーライス何気なく美味しかったよな」

と俄かに思い出し突入、客は僕一人。

「カレーライスください」

「はいよ」

いつもフロアーに立っていたお婆ちゃんがいない。引退したのか、はたまた…、オヤジさん一人だけだった。5分ほどで懐かしのカレーライスが登場。水の入ったコップにはスプーンが差してあり、いかにも昭和のカレーライス風情。ご飯の上に無造作にカレールーがあしらわれ、定番の真っ赤な福神漬け、具は豚肉と玉ねぎ。

一口頬張るとこれが実に美味、ドロリとした食感もたまらないし、余計な小細工がされていない、正真正銘の古のカレーライスなのだ。微かな甘みは蕎麦ツユが使われているからだろう、ほどよいコクと旨味。辛さも柔らかい。

かつてこの界隈で一番のお気に入りの蕎麦屋のカレーは早稲田通り沿いにあった「亀鶴庵」だったけど、10数年前に閉店してマンションになってしまった。今はこの店に変わった。

近頃っていうのも爺臭いけど、いろんな食材や香辛料をやたら使いすぎて、それが凝った味だと勘違いしている店がはびこる中、この潔いシンプルなカレーライスを食べるとしみじみ美味しいなって感じる。ラーメンも同様だけどね。飛び抜けて美味しいものじゃないけど、半年ほど経つとまたこのカレーが恋しくなるんだよね。

余談だけど「浅野屋」の斜向かいに、「ボンマルシェ」っていう爺さんがやっていた洋食屋があったんだけど、いまはシートの店名だけ残っている。ここもよく来た店で、何気なく美味しかった。よく食べたのが「ボンマルランチ」。

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