四谷「じゃがいも」洗練されたお母さんの美味しいカレーライス


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「おふくろ的カレー」というと、その響き自体になにか気恥ずかしいものを感じる。便宜上インド、その他のエスニック、欧風とカレーを分類した場合、「おふくろ的カレー」という項目を引き合いに出さなければ語れない、そんなカレーライスの領域がある。

月並みだけど、原体験のカレーライス。つまり、家庭で子供の頃から食べ慣れてきたものだ。各家庭によって、味わいは千差万別だろうが、基本の「ルー」はどこの家庭も市販のもの、または各メーカーをブレンドしたものと相場は決まっている。だから、個人個人で味覚の違いはあるにせよ、懐かしむ味自体、どこか似ていることは間違いないだろう。

「オレはグリコのワンタッチカレー」

「アタシんちはジャワカレー」

「僕の家は甘党だから、バーモントカレーだね」

とおよそこんな具合。

つまり家庭のカレー、いわゆる「おふくろ的カレー」は、美味い不味いはという世界ではなく、子供の頃に食べていたカレーにいかに近い味かということが、勝負の分かれ目になってくる。そんなカレーは、町の定食屋、蕎麦屋、喫茶店、洋食屋にと無数にあって、その個人の原体験にかなった味の店に流れていくものではないか。

といった「おふくろ的カレー」の中でも、一押しの店が、四ツ谷にある「じゃがいも」だ。

カウンター5席、4人席2卓、2人席3卓の縦長の店。ランチタイムにはビーフカレーに限ってサービスがあり、月曜日は玉子無料、火曜日はチキンカツ、水曜日はハンバーグ、木曜日はチーズ無料、金曜日はカツカ割引価格でいただける。

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辛さは甘口、中辛、辛口の3段階。肝心のカレーは、ソースは黄色いトロトロな粘度。見た感じはなんの変哲もないビーフカレーだが、ほのかに甘く、じゃがいもの澱粉でトロミをつけたソースは味に奥行があり、懐かしさの中に確かなプロの手応えを感じる。具はジャガイモ、ニンジン。また薬味は福神漬けとダイコンの甘酢漬けの2種類。昔は4種類だったんだけど。

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人気メニューは「野菜カレー」、そのデコレートがいい。ダイコンの千切り、素揚げされたナス、下味を付け茹でたカボチャ、ニンジン、ブロッコリー、そしてグリーンピース。見た感じとは裏腹にスパイシーで美味。

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それと2番人気の「玉ねぎと豚バラのカレー」は、いい具合にソテーされた玉ねぎは、香ばしくほどよく甘い、バラ肉との相性がいい。昔は「ポークカレー」があり、豚肉にしっかりと下味が施された辛口ソースで旨かったのに、このメニューに変わったんだね。その他「ひき肉とナスのカレー」は、野菜カレーのデコレーションに似ていて、隠し味に甜麺醤か八丁味噌のようなものが使われていようで、どこか麻婆豆腐をホウフツとさせる。

どのカレーもおふくろの温もりを感じさせてくれる、そんな味わいだ。


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