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東武東上線ときわ台駅北口は、沿線唯一の高級住宅街だ。かつて全盛期の日活映画を観ると北口駅前にあった噴水広場がロケ地として度々登場し、地元民としてはどこか誇らしいものがあった。

ときわ台北口垂直に伸びる道を真っ直ぐ。富士見街道、通称エスビー通りにぶつかる交差点右角に「甘味処ふくや」がある。この店の暖簾に「ラーメン」と記されていて、ず～っと前から気になっていた。

「甘味屋のラーメン、なんだかいいな…」

ある日勇気をもって飛び込んだ。店頭の今川焼器の前に佇む７０半ばのオバちゃん一人。

「いらっしゃい」

「え～とラーメン下さい。あっそれと、持ち帰りで甘太郎１つお願いします」

「はい」

奥の厨房に消えると仕込みを始める。甘太郎とはこの店で言うところの今川焼。

１０分ほどで登場したのがご覧のもの。

海苔、ナルト、メンマ、タップリの焼豚これで４５０円は安い。スープを一口。

「旨い！」

見た目は塩ラーメンに似た風情、深い旨味と塩梅のいい塩加減。

ちょい硬質なストレート麺は滑らかでツルツル。

また下味のしっかり効いた焼豚が香ばしくてまた旨い。こりゃヘタな専門店より優れている。いや～手前味噌だけど自分の嗅覚は確かだ。

途中、菜っ葉服を着た青年が甘太郎を３つテイクアウト。現場の仲間へのお土産か。このラーメン食べてきゃいいのに。

「このラーメン醤油入ってないんですか」

「いえ、ちゃんと入ってますよ」

素材は市販のものも多く使われているだろうが、恐らく元ダレや焼豚など自家製しているのだろう。

道すがら甘太郎を一口。甘味にはウンチクがないけど、これ香ばしくホクホクで、甘すぎない粒あんが妙にしっくりくるのだ。

〈店舗データ〉

【住所】東京都板橋区常盤台１–４１–４シャルムトミタ１階　電話０３–３９６０–１７２１

【営業】１１時～１８時

【休日】日・祝

【アクセス】東武東上線「ときわ台駅」北口から５分

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