神保町「共栄堂」カレーライスの老舗、スマトラカレー


神田神保町の老舗カレー専門店「共栄堂」のスマトラカレーをご存知か。

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共栄堂に出合ったのは学生の頃である。恥ずかしながら僕は文学青年で、神保町の古本屋で初版本や絶版本を漁る日々を過ごしていた。お目当ての本が見つかれば、この界隈の「古瀬戸」、「ミロンガ」、「さぼうる」という喫茶店で過ごしたものだった。ちょいと小銭があれば、神保町名物「いもや」のとんかつか、天丼なのだろうが、僕の場合は決まって「共栄堂」のカレーだった。 家庭のカレーから脱皮し、インドカレーの魅力にはまった頃だったが、ここのカレーはどのジャンルにも属さない味わいのカレーで、茶褐色に佇む色合いのソースは、トロトロで心地よくネットリト舌に絡み付く旨味。その仄かなビターの舌触りは、背伸び盛りの僕にとって大人のカレーを感じさせてくれた。

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ここのカレーは「スマトラカレー」と称し、創業者が、ある人物からスマトラ島(インドネシアで2番目に大きな島)のカレーの作り方を教わったのが始まりだそうだ。「うちは洋食屋として大正13年に創業しましてね、その当時からこのカレーはあったんですが、昭和50年代頃ですか、カレーに特化した店に姿を変えたのは……」 と語るのは、ロマンスグレーで男前な3代目店主、宮川氏。 「それぞれのカレーは一見、同じソースに見えるかもしれませんが、素材に合わせてカレーソースを一つ一つ仕込んでいるんです」 確かにどのカレーも褐色でトロトロの風情で同じソースに見えるけど、それぞれ微妙に味わいが異なるのである。

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その美味しさの秘密は、各種油脂で20種類のスパイスを焙煎し、ジャガイモやニンジン、ニンニク、ショウガを合わせ、ブイヨンで伸ばし煮込む作業を行っている。ソースのトロトロとした食感は小麦粉ではなく、野菜が解け込んだ自然な粘度なのだそうだ。 特筆は、とにかく注文してからカレーが出てくるのがすこぶる早いのだ。腹が減って我慢できない時や、仕事の忙しい合間にはホントに重宝する。またサービスで提供されるコーンポタージュ、これも旨いんだな。 神保町散策の合間にぜひ訪ねてもらいたい。たぶん経験したことのないカレーの味わいに胃袋が唸るはず。


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