渋谷センター街にあった伝説のロック喫茶、「ナイロン100パーセント」の元店長で編集者の中村直也さんに連れられて訪れたのが、恵比寿、ネバール料理屋の「ソルティーモード」だった。ここで供されるネパール料理はどれも優れもので、驚かされた。
ある日、出版社時代の友人から連絡があり、
「ソルティーモードって知ってますか」
「知ってるよ」
「そこの姉妹店が町田に出来るんですけど、今度行ってみてくださいよ」
との情報だったけど、訪れるまでにおよそ2年が経ってしまった。
オーナーの爲谷さんは恵比寿の「ソルティーモード」のそばに会社があったころ、ここに頻繁に通い、その料理の美味しさにすっかり魅せられた。退職後、満を持して町田に姉妹店を開店させたという経緯だ。
最初にビール「ネパールアイス」でちょい喉を潤し、
「アルコアチャール」と
「豆サラダ」をいただく。いずれもほどよい味付けで美味だ。
次に店自慢の「モモ」を2種類いただく。
蒸したモモの中央にトマトのアチャール。具はマトンで、シットリとしてどこか滑らか、スパイスの加減が絶妙で実に旨い。
焼いたモモの具はチキン、仄かに香ばしくマトンと同様、スパイス感もよく、シットリとした餡、これも美味。
「これ今まで食べたモモの中で一番美味しいかも…」
次にマトンのダルバート(ネパールのカレー定食)。基本インドカレーと違い、いたずらにスパイスを前面に押し出していないのが特徴。ゆえにスパイスの何かが突出した味わいではなく、穏やかなスパイス感、旨味、塩加減が絶妙のなんだな、これも優れものだ。ライスはジャスミンライスと日本米をブレンド、これもいい。
そしてネパール焼きそばの「チャウメン」。スパイス味の炒め麺でこれに関しては極普通、だけど麺を変えたらもっと美味しくなると思う。
「チキンパコラ」(インドやネパール天ぷら)はサクッとシットリ、旨味が充実。これ美味しいね~。小麦粉を使った天ぷらと違い、ベスン粉(豆の粉)で作っているので立体的な奥行きのある味わいに食が進む。いずれにしても「ソルティーモード」の料理はどれもピカイチ。
「これ食べてみてください」
と店長のシュレッサさんが持ってきたのが「マトンのホルモンのブトア」って言ったかな?
初めて食べる料理で、スパイスで炒め煮したラムホルモンで、クセがなく穏やかな味わいは酒のつまみに合うね。どこかネパールの干し肉「スクティ」に共通する感じがする。
ネバールのお酒といったらラム酒、特に「ククリスパイスラム」は美味しかった。仄かにカルダモンの芳香で、スパイス料理にはピッタリのお酒だと思う。
「このネパールのモモとダルバートの美味しさをもっと日本人に知ってもらいたくて、いろいろ活動していくつもりなんですよ」
とオーナーの爲谷さん。
ネパール料理屋もインド料理屋の陰に隠れていたけれど、これからはもっと店が増えていくと思う。町田に寄った折にはぜひ「ソルティーモード」、お勧めですよ。
〈店舗データ〉
【住所】東京都町田市中町1-19-5 大貫ビル1階 電話042–709–3808
【営業】11時30分~14時 18時~23時 水18時~23時
【休日】火
【アクセス】小田急線「町田駅」北口から徒歩7分