「天ぷらてと和食山の上」を初めて訪れたのは、30歳ジャスト。駿河台にあった会社に転職したてで、当時の社長に誘われ初めていただいたとき、
「これ旨いっスね」
「ここいいだろう」
社長のおごりだったので、コース以外のメニューを片っ端からいただいたものだった。
天ぷら屋はさほど巡っていなく、ウンチクを傾けられるほどじゃないけど、自分でも結構本格的に天ぷらを作る。作り手は揚げ立てをそばから食べられないのが悲しいけど、みんな美味しいって言ってくれるのが何よりだ。この「山の上ホテル」出身の職人は方々に散らばっていて、有名なところだと銀座の「近藤」と赤坂「楽亭」(閉店)だ。
ここは予約を入れなきゃまず入れない。時間がなかったので数日前に予約を入れたら、座敷しか空いていなかった、残念。寿司屋もそうだけど、やっぱカウンターで職人の仕事を見るのも一興だ。
今回は連れと2人で訪れ、「和食と天ぷら定食」9000円のコースを注文。刺身が天ぷらに変えられるのでそれにした。
お通しは「じゃこ山椒」、これをついばみながらビールで喉を潤す。卓上に用意されたのは、大根おろしと天つゆに塩。天つゆを味見、
「メチャメチャ出汁が効いてるね」
「これ美味しいわ」
この天つゆはホントにスグレモノ、大根おろしを浸していただいてもこれだけで美味。
まずは「海老の頭」、そのまま口に運ぶ、カリっとサクっと心地よい。次にちょい天つゆに浸してパクリ、実に旨い。
「なに飲もうか」
「ワインが半端ないけど」
銘柄や種類が豊富、いやはや「オーパスワン」まで置いてある。
我々は日本酒党なので、いちばん安い「菊正宗」を注文。出てきたのがスズの徳利、さすがホテル。日本酒はスズの器に入れると美味しさがかなり際立つものだ。
次に海老、おそらく車海老、衣の加減が絶妙でカリっとシットリ、う~ん旨い。
下仁田ネギと伏見唐辛子、これも揚げ具合がいい。
そしてキスと京ニンジン、このキスはこの上なく美味。
メゴチは肉厚でシットリとレンコンはサクッと歯ごたえこ心地よい。
このレンコンの断面を見てもらえばわかるけど、薄い衣素材を引き立ててくれる。
アスパラも旨い、とにか揚げ具合がどれもお見事。
最後に穴子、この穴子はちょいいまいちだね。一番グッと来たのはキスだな、メチャ旨だった。
そして香物、ご飯に赤だしのシジミ汁。
穴子がまだ残っていたので、天つゆに浸して、ご飯の上にのせてパクリ、美味しいよ。
デザートはリンゴのシャーベットと抹茶アイスクリーム、これ余計な味が入ってなく、実にフレッシュな味わい、
また抹茶が濃厚、変なものが使われていないのがよくわかり、非常に好感が持てる。もうとにかくお腹一杯になった。
やっぱ「天ぷら山の上」は只者じゃない。それなりの値段がするけど、ここはいい。ちなみにランチの定食でも十分楽しめる。天丼は2800円からで、天ぷら定食は5500円からだ。
〈店舗データ〉
【住所】東京都千代田区神田駿河台1-1 山の上ホテル 1F 電話03-3293-2831
【営業】11時~(L.O.15時) 17時~(L.O.21時) 土日祝11時~(L.O.15時)
15時~(L.O.21時)
【休日】無休
【アクセス】JR中央線・総武線「御茶ノ水駅」御茶ノ水橋口から徒歩4分 地下鉄千代田線「新御茶ノ水駅」丸ノ内線「御茶ノ水駅」より徒歩5分 都営三田線・新宿線・地下鉄半蔵門線「神保町駅」から徒歩5分