この界隈は、呑み助の間では大衆居酒屋の聖地と認識されているけれど、実は洋食の隠れた名店があるのだ。
京成立石駅をイトーヨーカドー側に降り、線路を右手に見ながら脇の道を四ツ木駅方向へ歩く。5つ目の踏切を左折すると左手に「洋食工房ヒロ」があらわれる。7、8分といったところか。
ご主人の飯田裕史は浅草の名店「ヨシカミ」で12年コックとして働き、満を持しておよそ8年前に地元立石でこの店をオープンさせた。ご主人の姉と親戚の叔母と3人で店を切り盛りしている。
一番人気はご覧の「ハンバーグステーキとエビフライの盛り合わせ」で、ライス、ポタージュスープ、コーヒーがついて、なんと980円と努力価格。
フードコーディネーターの資格を持っているだけあって、そのデコレーションはお見事。まるでサンプルのような見栄えで、眺めているだけでも胃袋が唸ってしまうのだ。
もちろん味も抜群。サクッとプリプリの大エビの食感が心地よく、濃厚なタルタルソースとの相性がいい。そして確かな肉の存在を感じるハンバーグに、ちょいと甘めで濃厚なデミグラスソースもいい。付け合せのズゲティやポテトサラダ、マリネされたニンジンサラダ、繊細なキャベツの千切りなど、どれも隙のない美味しさで、ポタージュも文句なしの味わい。すべて手作りである。
またミックスフライ、ポークジンジャー、カツサンドも間違いなしの美味しさ。特に驚かされたのが、カレーライス。一見平凡な絵姿であるけれど、アッサリと軽やかながらニンニクの風味が生かされ、ちょいと辛口で複雑な旨みに彩られた味わいなのだ。
気取ることがないアットホームな接客姿勢、気持ちよくゆっくりと食事が楽しめるように努力されている。平日も常に込み合っているが、特に土日は行列をなし、ランチメニューが数時間で売り切れてしまう人気ぶりなのだ。